2013 Fiscal Year Annual Research Report
古細菌(始原菌)におけるグリセロール代謝の網羅的解析
Project/Area Number |
25660056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古賀 雄一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379119)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 古細菌 / 超好熱菌 / 始原菌 / グリセロール代謝 |
Research Abstract |
本研究では、超好熱古細菌(始原菌)T.kodakarensisのグリセロール代謝経路の役割と代謝の特性を明らかにするために、Glycerol 代謝関連遺伝子(Tk-glpA、Tk-glpK、Tk-glpQ)について研究を行った。 Tk-glpAはG3Pデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子であるが、その活性とは直接関連のないNADHオキシダーゼ(nox)とモリブドプテリン依存型還元酵素サブユニット(mox)の遺伝子とオペロン形成していることがわかった。これら3遺伝子の産物を用いてin vitroで再構成した所、3者からなるヘテロ複合体を形成し、G3Pデヒドロゲナーゼの構造安定性と酵素活性が上昇することから、機能的に相補しあう酸化還元に関わる複合体の形成が示唆された。 一方、本菌にはグリセロホスホリルホスホヂエステラーゼ(GDPD)をコードする遺伝子glpQが2つ連なっている。一方を欠損した変異体それぞれで酵素活性を測定した所、上流の遺伝子は発現していないことが確認された。一方、下流に存在する遺伝子については、上流の遺伝子領域に存在する塩基配列が発現に必須であること、また、NaClにより遺伝子の発現が制御されていることが示された。また、Tk-glpK はGlycerolから適合溶質の骨格であるG3Pを生産する酵素の遺伝子である。他の微生物ではグリセロールの異化代謝に働くと考えられているが、遺伝子欠損変異株を用いた解析の結果、本菌ではグリセロールは資化されていないことが示された。そこで、本菌の抽出産物からリン酸エステルの抽出を行い、NMRと質量分析による解析を行った所、塩ストレスに対応して生産される適合溶質のリン酸ジグリセロールが生産されていることが示唆された。本研究の結果は、これらの遺伝子が、超好熱菌の塩や熱ストレスに対応するための新たな働きを持っている可能性を示している。
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Research Products
(3 results)