2013 Fiscal Year Research-status Report
酵母のアセチル化酵素Mpr1による細胞内抗酸化系の新しい制御機構
Project/Area Number |
25660058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 博史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (50275088)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞内抗酸化系 / N-アセチルトランスフェラーゼMpr1 / 酵母 |
Research Abstract |
1)各生理的条件における細胞内pGlu量の定量とMpr1依存的抗酸化機構の関連性の解析 今年度は、2,4-dinitrophenylhydrazineとN-[3-(Dimethylamino)propyl]-N'-ethylcarbodiimideを用いたpGluの可視化とHPLCを組み合わせて、pGluの定量系の構築を試みた。しかし、標準試料のpGluの定量は可能であったものの、細胞内のpGluを定量することはできなかった。これは、細胞内pGlu量が非常に少なく、本検出系の感度では検出できなかったためと考えられる。また、細胞内でMpr1の活性が内在性pGluによって制御されているかを検証するために、pGlu分解酵素であるoxoprolinase(Oxp1)の過剰発現株と破壊株を構築し、Mpr1のモデル基質である毒性物質AZCに対する耐性を指標として、in vivoにおけるMpr1の活性を評価した。しかし、Oxp1過剰発現株は野生株と同等のAZC耐性を示し、また、Oxp1破壊株は予想に反してAZC耐性が向上した。これらのことは、細胞内pGlu濃度は非常に低く、Mpr1の活性を阻害するほどではないことを示唆している。これは、in vitroでのpGluのKiが3 mM程度であることと矛盾していない。 2)Mpr1のミトコンドリアへの輸送の生理的意義の解明 Mpr1がミトコンドリアへ輸送される場合、何らかのタンパク質との相互作用が必須であるとの着想から、ヒスチジンタグを融合したMpr1を酵母細胞内で発現させ、ニッケルカラムによるプルダウンアッセイを行い、Mpr1と相互作用するタンパク質を探索した。しかし、今年度の実験の範囲では、相互作用タンパク質を見出すことはできなかった。また、各種クロスリンカーを用いてMpr1と相互作用するタンパク質を共有結合で結合させるという方法も試みたが、相互作用タンパク質の同定には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
pGluの可視化とHPLCを組み合わせて、pGluの定量系の構築を試みたが、本検出系の感度では検出できなかったことから、細胞内のpGlu量は非常に少ないと考えられた。また、Glu分解酵素であるoxoprolinase Oxp1の過剰発現株や遺伝子破壊株を構築したが、Mpr1の活性に変化はなかったことから、細胞内のpGlu濃度は非常に低いものと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、アルギニン合成に関与する各酵素の遺伝子破壊株を用いて、Mpr1の細胞内基質がこれまで考えられてきたL-Δ1-pyrroline-5-carboxylic acid (P5C)/L-glutamate-γ-semialdehyde (GSA)かどうか検証する。また、培養条件やストレス条件とMpr1の局在との関連性を評価するために、GFPを融合させたMpr1を用いて、各種条件によるMpr1の局在を蛍光顕微鏡にて観察する。
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Research Products
(2 results)