2015 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ酸を利用した活性汚泥中でのバチルス属細菌の新奇生存戦略の解明と余剰汚泥減容化
Project/Area Number |
25660061
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 丈 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (10505754)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 細菌 / 胞子 / 活性汚泥 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性汚泥にケイ酸を主とするミネラルを添加するとBacillus属細菌が優占化し、余剰汚泥が減少することが経験的に知られていたが、そのメカニズムは不明であった。一方、我々は、一部のBacillus属細菌が培養液中のケイ酸を取り込み胞子殻上にシリカとして蓄積することを独自に明らかにした。これらの知見を合わせると、Bacillus属細菌が環境中のケイ酸を取り込み胞子のストレス耐性を向上することで、生存率を高めて優占化するという新奇の生存戦略が浮かび上がる。 平成26年度の研究において、シリカを蓄積したBacillus属細菌胞子のストレス耐性の評価を行ったところ、シリカ蓄積胞子は塩素耐性が有意に向上していることが明らかとなった。一部のBacillus属細菌優占化プロセスでは返送汚泥の塩素処理を経ているため、シリカ蓄積による塩素耐性の向上が、活性汚泥中でのBacillus属細菌優占化に関与している可能性が示唆された。 本年度は、シリカ蓄積と塩素耐性の関係についてさらなる解析を行うため、シリカ蓄積量の異なる複数の株について塩素耐性の評価を行った。その結果、シリカ蓄積量が最も多いBacillus sp. YH64株では、シリカ蓄積に伴い塩素耐性の有意な向上が認められたが、シリカ蓄積量が少ないB. cereus ATCC 14579株では塩素耐性の有意な向上は認められなかった。これらの結果は、胞子に蓄積されるシリカの量と塩素耐性向上の度合いとの間に正の相関があるという前年度の結果を支持するものであった。
|