2013 Fiscal Year Research-status Report
ポリリジン生産放線菌におけるリジン生合成経路の解析
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25660064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
濱野 吉十 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (50372834)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アミノ酸生合成 / リジン生合成 / 二次代謝産物 / ポリリジン |
Research Abstract |
ε-ポリ-L-リジン(ε-PL)は、25~35残基のL-リジンが直鎖状につながったホモポリアミノ酸であり、数種の放線菌によって生産される。最近我々は、ε-PLの生合成メカニズムを明らかにし、また、ε-PL 生合成遺伝子がε-PLの生産蓄積とともにその転写量が向上することを見出した。しかし、ε-PLの生合成出発原料であるリジンの生合成経路遺伝子の転写量は、ε-PLの生産性が向上するとともに低下する興味深い結果を得た。これは、リジンの供給が従来から知られているリジン生合成経路(ジアミノピメリン酸経路)ではなく、別経路で生合成される可能性を示唆しており、本研究では、この新規リジン生合成経路を同定することを目的とする。 H25年度においては、まず、ε-PL工業用高生産変異株における変異点の同定を行った。ε-PL生産野生株と変異株のゲノムシーケンス(受託分析)にて変異点を同定したところ、数十カ所の変異、欠失が認められた。当初の研究計画では、変異が確認された遺伝子を野生株に導入しε-PL生産性の向上に関与する遺伝子を同定する予定であったが、検出された変異があまりにも多数であったため、現在、その変異遺伝子の絞り込み作業を行っている。さらに、当初の研究計画どおり、変異株のゲノムライブラリーを野生株に導入し、ε-PL生産性の向上に関与する遺伝子を同定する古典的手法(ショットガンクローニング)を行った。現時点で、候補となる遺伝子は同定されていないが、ゲノム解析によって絞り込めた候補遺伝子の導入実験を行っている。また、ε-PL生産野生株および工業用高生産変異株のゲノムライブラリーをS. lividansに導入するショットガンクローニングにて、ε-PL生産性の向上に関与する遺伝子を同定作業を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ε-PL生産野生株と変異株のゲノムシーケンス(受託分析)にて変異点を同定したところ、予想よりもはるかに多い数十カ所の変異、欠失が認められた。当初の研究計画では、変異が確認された遺伝子を野生株に導入しε-PL生産性の向上に関与する遺伝子を同定する予定であったが、検出された変異があまりにも多数であったため、現在、その変異遺伝子の絞り込み作業に時間を要している。 また、変異点が多数あり同定が困難である場合を想定し、当初計画に予定していた変異株のゲノムライブラリーを野生株に導入しε-PL生産性の向上に関与する遺伝子を同定する古典的手法(ショットガンクローニング)を開始した。しかし、ε-PLの検出試薬である色素Poly-R478が販売中止になったため(唯一、中国製のPoly-R478が存在するが日本には輸入できず入手不可であった)、代替できる色素の検討に時間を要した。幸いにも、赤色色素であるAmaranthが利用できることが判明し、現在、本実験を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究計画からやや遅れているが、その問題点はすでに解決されている。引き続き、当初の研究計画通り、進める予定である。 また、H26年度に実施予定である「研究課題C 野生株とε-PL生合成遺伝子破壊株におけるメタボローム解析」と「研究課題D ε-PL 生合成における13C取り込み実験」に着手する。
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