2013 Fiscal Year Research-status Report
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25660070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
八代田 陽子 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 専任研究員 (60360658)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 代謝 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
生物にとって細胞外からの窒素源の取り込みおよび細胞内におけるアミノ酸合成は、生命を維持する重要な代謝機能の一つである。一方、単細胞生物は環境変化に迅速に適応する代謝機構が備わっていることが知られている。例えば、NH4+のような利用しやすい窒素源が存在する場合、アミノ酸などの利用しにくい窒素源の取り込みが阻害される。本研究ではモデル生物として有用な分裂酵母の環境変化に適応する代謝機構を明らかにすることを目的として、下記の2テーマについて研究を行った。先行研究で分裂酵母のeca39Δ株(分岐鎖アミノ酸(BCAA)アミノ基転移酵素遺伝子破壊株)における窒素源の取り込みについて、NH4+およびBCAA添加培地では生育不可能、グルタミン酸添加培地では野生株の近傍でのみ生育可能という極めて興味深い発見をした。そこで、この窒素源の取り込みに関して細胞間で行われている情報交換の詳細を明らかにすることを目的として、何らかの“分泌ファクター”の存在を仮定し、その実体もしくはコード遺伝子の同定を目指して研究を行った。コード遺伝子の同定について分裂酵母の遺伝子破壊株ライブラリー(約3,000株)および遺伝子過剰発現株(約5,000株)ライブラリーを用いて、グルタミン酸添加培地上でeca39Δ株の増殖が回復しない株のスクリーニングを行った。その結果、13遺伝子破壊株および19遺伝子過剰発現株が見出され、これらはグルタミン酸添加培地上でeca39Δ株の増殖回復を促す“分泌ファクター”に関係のある遺伝子である可能性が示唆された。“分泌ファクター”そのものの同定について、eca39Δ株の増殖を回復させる活性成分の存在が明らかになった野生株の培養上清および菌体分画を用いて、様々な有機溶媒による分画およびpH依存性を調べた。その結果、“分泌ファクター”は酸性の脂溶性分子であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分画による分泌ファクターの同定にやや時間がかかっているため、次年度に行う予定であった「eca39Δ株の生育の回復を促進させる分裂酵母遺伝子過剰発現株の探索」を今年度に行い、全体として計画通りに進むよう調整を図った。
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Strategy for Future Research Activity |
分画精製による分泌ファクターの同定に注力する。分泌ファクター同定後に、分泌ファクターを作用させた際の代謝物変化を受託のメタボローム解析を利用して調べ、分泌ファクターの詳細な作用機構同定を行う。
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Research Products
(1 results)