2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25660071
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
松山 崇 株式会社豊田中央研究所, 先端研究センター バイオ研究室, 主任研究員 (90394882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 孝雄 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20614928)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 遺伝子発現制御 / ターミネーター / 出芽酵母 |
Research Abstract |
・出芽酵母においてタンパク質の生産量を向上させる活性が、標準ターミネーターPGK1tの2倍以上の活性を有する上位5種類のターミネーター(RPL41Bt, RPL15At, DIT1t, RPL3t, IDP1t)について、培地の炭素源、生育時期、親株等が上流に配置した導入遺伝子のタンパク質生産(蛍光タンパク質及びセルラーゼ)に与える影響を調べた。その結果、代謝工学に用いる場合には、DIT1tが最も優れていることを明らかにし、本研究の最初の解析対象とした。 ・DIT1tについて、デリーション・クローンを作製し、250bpまで短くしても活性が変わらないことを明らかにした。次に、この領域をTDH3プロモーターとGFP遺伝子の下流に組み込んだコンストラクトをゲノムに挿入した遺伝子組み換え酵母DIT1t株を作製した。DIT1t株に対して、出芽酵母ゲノムの95%をカバーしたYeast genomic tiling collectionを導入したスクリーニング用のDIT1t株ライブラリーを導入した。 ・16種類に分割したライブラリーの合計1536株について、GFP蛍光を指標とし、DIT1t活性を高めるゲノム領域の一次スクリーニングを行い、13の候補領域を得た。再現性を確認し、8種類の領域まで絞り込んだ。これら8種類のゲノム領域の末端の塩基配列を決定し、最終的に4種類のゲノム領域まで絞り込んだ。 ・それぞれのゲノム領域に含まれる遺伝子を、1種類ずつ多コピー型プラスミドにクローニングした後、DIT1t株に形質転換した。GFP蛍光を指標として、DIT1t活性を高める原因遺伝子を、それぞれの領域から独立に4種類を同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・mRNAの3'-UTRに結合して、mRNAの半減期を長くしたり、翻訳活性を高める機能を有するRNA結合性タンパク質は、これまでに見つかっていない。本研究において、対数増殖期から定常期へと移行する間に、上位5種類のターミネーターのうち、DIT1tの活性のみ、2倍程度高まることが発見された。この結果より、DIT1t特異的にターミネーター活性を高める遺伝子が存在する可能性が高いことが強く示唆された。 ・Yeast genomic tiling collectionを用いたスクリーニングにより得られた、DIT1t活性を高める4種類の遺伝子のうち、2種類はRNA結合性タンパク質をコードする遺伝子であり、上記の作業仮説を支持していると考えられた。今後、これらの遺伝子による遺伝子発現制御の新たなメカニズムの解明が期待される。 ・有用物質を生産する代謝工学的に改変された遺伝子組み換え酵母を開発する上で、導入遺伝子のゲノム1コピーあたりの発現量が高めることは重要と考えられる。その手段として、高活性ターミネーター、及び本研究にて発見された、ターミネーター活性をさらに高める遺伝子を利用した導入遺伝子の高発現システムの構築も期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
・今回得られた4種類のDIT1t活性化遺伝子の作用機作を明らかにするために、まず、互いの遺伝学的な関係を明らかにする。具体的には、これらの遺伝子の欠損株、高発現株、これらを組み合わせた株を作製し、GFP蛍光を指標として、DIT1t活性に違いがでるかどうかを解析する。 ・DIT1tの内部デリーション・クローンを作製し、DIT1tを活性化するRNA結合性タンパク質が結合するcis領域を明らかにする。具体的には、250bpのDIT1t領域のうち、20bpおきに10bp欠損した一連の変異DIT1tを作製し、これらの活性をDIT1tと比較して、活性が低下した領域を探索する。活性が低下する変異DIT1t領域が見つかった場合、その周辺領域を含めて、3bp欠損した一連の変異DIT1tを作製し、fine mappingを行う。 ・DIT1tを活性化するRNA結合性タンパク質を大腸菌で異種発現して精製し、DIT1t領域との結合性について、生化学的な解析を行う。
|