2013 Fiscal Year Research-status Report
新規糖脂質MPIaseを利用した機能的膜タンパク質の可溶化剤の開発
Project/Area Number |
25660073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西山 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (80291334)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質膜挿入 / 膜タンパク質可溶化剤 / MPIase / 糖脂質酵素 |
Research Abstract |
MPIase(Membrane Protein Integrase)は申請者が発見した、タンパク質膜挿入反応に必須の糖脂質酵素である。一連の膜タンパク質はMPIaseにのみ依存して膜挿入する。この膜挿入機構を解析したところ、膜タンパク質はその生合成直後にMPIaseと相互作用し、その後MPIaseの作用で膜挿入することが判明した。そのため、MPIaseは膜タンパク質に特化した分子シャペロンであると考えられる。MPIaseをピロリン酸フォスファターゼで消化すると可溶性の糖鎖(PP-MPIase)が得られる。PP-MPIaseはMPIaseよりも高い膜挿入活性を持ち、膜タンパク質と可溶性の複合体を形成することができる。このことは、PP-MPIaseは膜タンパク質の可溶化剤として利用できる可能性が高いと考えられる。そのため、MPIaseを化学修飾し、より膜タンパク質と安定に相互作用できるMPIase誘導体が形成できると考えられた。まず、MPIaseを酢酸で処理するとPP-MPIaseからリン酸が除かれたMPIase(AcOH-MPIase)が得られた。しかし、AcOH-MPIaseは全く膜挿入活性がなく、しかも膜タンパク質との相互作用が観察されなくなった。このことはMPIaseのリン酸基は膜タンパク質との相互作用に必須であることを示している。現在、PP-MPIaseを出発材料としてアセチル基の導入をはじめとする化学修飾を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、MPIaseのリン酸基は膜タンパク質との相互作用や膜挿入活性にはあまり重要ではないことを示唆する結果が得られていたため酢酸処理したAcOH-MPIaseを出発材料として研究を進めたが、AcOH-MPIaseは全く活性がなく、また膜タンパク質との相互作用が観察されなくなることが判明した。リン酸基が相互作用や活性に重要であるという知見は非常に重要な発見ではあるが、膜タンパク質可溶化剤の開発という観点からは一歩後退であるため「おおむね順調に進展している」という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
MPIaseのリン酸基を欠くAcOH-MPIaseは調製が容易ではあるが膜タンパク質との相互作用が観察されなくなるため、酵素処理により得られたPP-MPIaseを材料としてMPIaseの化学修飾を進める予定である。また、MPIase生合成に係わる因子もいくつか同定できたので、これらの枯渇株も用いて変異型MPIaseを調製し、膜タンパク質可溶化剤として用いられるかどうか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助員の雇用開始が遅れ、8月になってしまったため。 変異型MPIaseの条件検討数を増加させるための材料費に充てる。
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