2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞外に放出される膜小胞エクソソームを介したPLSCR3の脂肪細胞分化制御機構
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25660076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牧 正敏 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40183610)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪細胞分化 / 脂肪前駆細胞 / エクソソーム / 細胞外膜小胞 / PLSCR3 |
Research Abstract |
PLSCR (phospholipid scramblase)は膜リン脂質の外葉と内葉の間でフリップ・フロップを行う因子として報告されたが、そののち本来のリン脂質混合因子は別に存在することが明らかとなり、生理的機能は不明となっている。そのアイソフォームのひとつ、PLSCR3のノックアウトマウスは腹部に脂肪が蓄積することが報告されている。我々はPLSCR3がヒト胚性腎細胞HEK293に過剰発現させると細胞外に膜小胞(エクソソーム)として分泌されることを報告していた。本研究では、マウス脂肪前駆細胞においてPLSCR3が細胞外にエクソソームとして分泌されていることを明らかにした。また、常法に従いDexamethasone, 3-Isobutyl-1-methylxanthine (IBMX), insulin添加により分化誘導を行うと、ウェスタンブロッティングによるPLSCR3の細胞内存在量は著しく低下していた。また、定量的RT-PCRによりPLSCR3のmRNA量を測定したところ、分化の指標となるトリグリセリド蓄積やPPARγなど転写因子mRNAの増加にともないPLSCR3 mRNAは減少していたものの、タンパク質レベルでのPLSCR3減少量を説明することはできなかった。一方、エクソソーム画分のPLSCR3は増加しており、分化誘導による分泌亢進が、結果として細胞内のPLSCR3タンパク質の量的減少にも関わっていることが判明した。HEK293細胞で発現させたPLSCR3を含むエクソソーム画分の脂肪細胞分化に対する影響を調べたが、顕著な効果は得られず、エクソソーム中のPLSCR3が生理機能をもつかどうかは不明である。むしろ細胞内のPLSCR3が分化を抑制していると解釈する方が正しい可能性があり、今後の研究の方向性が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで内在性のPLSCR3がエクソソームとして分泌される細胞株がなかったため研究に制約があったが、脂肪前駆細胞3T3-L1がPLSCR3を分泌していることが判明し、当初の目的を達することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PLSCR3が脂肪細胞分化に伴って減少することの生理的意義について明らかにする必要がある。PLSCR3のRNA干渉法によるノックダウンや強制的過剰発現によるPLSCR3の発現レベルの人為的調節が脂肪細胞分化に与える影響を調べることにより一定の回答が得られると期待される。また、脂肪細胞分化過程には転写カスケードが知られており、個々の分化マーカーのRT-qPCRによる解析を行い、PLSCR3の作用点を明らかにする必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脂肪細胞分化の定量的解析に必要なRT-qPCRを行うための各種プライマー設計を行ったが、試行錯誤のため時間がかかり、本格的な解析にまでは至らなかった。 脂肪細胞分化の統計的な定量解析をする必要があり、培養ディッシュ、培地、分化誘導剤、トリグリセリド定量キット、RNA抽出キット、抗体など多量の各種試薬・消耗品の使用が見込まれる。
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Research Products
(5 results)