2014 Fiscal Year Annual Research Report
微生物による発熱機構の解明と瓦礫発火の抑制および発電への応用
Project/Area Number |
25660077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 徹 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (70182821)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発酵熱 / FoF1-ATPase / 藍 |
Outline of Annual Research Achievements |
発酵熱は有機物の微生物分解に伴って生成すると考えられるが、あまりに自明の現象のためか発酵熱生成の詳細な機構についての研究はほとんどなされていない。本研究では、熱生成を制御する生化学的手法の開発を目的に、藍染めに際して行う藍葉からの「すくも」作製時の発熱を発酵熱産生のモデル系として、発熱測定や発酵過程における菌叢解析および発酵熱産生に関わる微生物の単離・同定を行った。発熱測定には藍葉の温度上昇の計測とともに、けいはんな文化学術協会製の非破壊微生物活性計測システムAntares R(19試料同時計測)を用いた。菌叢解析にはPCR-DGGE法を、微生物の増殖評価にはリアルタイムPCR法を用いた。昨年度の研究において、真菌類が藍葉発酵時の熱生成に寄与していることが示唆された。しかし、実験室レベルの発熱は40℃が限度であったのに対し、実際の生産現場では60~70℃まで温度が上昇する。そこで藍場を50℃で発酵させたところ、中等度好熱菌Bacillus thermoamylovoransが単離され、高温時にはこの菌が高温状態の維持に関与している可能性が考えられた。本研究ではまた、発酵熱は本来ATP生成に向かうエネルギーがATP生成と脱共役することにより熱として放出されるとの仮説の検証を試みた。昨年度はE. coliのATP合成酵素複合体の変異株(ΔatpA、ΔatpC)の発酵熱生成をAntares Rを用いて分析し、変異株は野生株に比べて発酵熱を生成する能力が高いことを示した。今年度は、両ATPシンターゼ変異株が野生株と同量のグルコースを消費した場合でも、定常期の菌数が少ないことを明らかにした。このことからATPシンターゼ変異株では炭素源から得られたエネルギーの一部が増殖に使われず、熱となり放出されていることが示唆された。
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