2013 Fiscal Year Research-status Report
PCR合成DNAによる革新的な新規遺伝子発現抑制RNAi技術の開発
Project/Area Number |
25660080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 美紀子 山口大学, 大学研究推進機構, 研究員 (20457310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | RNA干渉 / siRNA配列 |
Research Abstract |
遺伝子機能を解明するためには、目的の遺伝子発現のみを抑制するRNAi(RNA interference:RNA干渉)技術が汎用されている。しかしこの方法は、RNAi配列によっては遺伝子発現を完全にノックダウンできないことが多々あり、論文などの成功例やメーカー等から提供されるソフトウエアでいくつかデザインし、その中で最も効率の良いものを選択しているのが現状である。従って、最適な配列を選択するためには、RNAi配列を高確率で設計できる方法論が必要である。そのためには、まず、多くの候補RNAi配列を用いて網羅的にRNAi効果を検証し、RNAi配列の設計に必要な情報を得ることが重要である。 そこで本研究では、ルシフェラーゼ遺伝子や蛍光タンパク質遺伝子などのレポーター遺伝子をモデル配列に用いて、様々なRNAi配列を用意し、それぞれのRNAi活性を検証し、RNAi活性を有する配列の法則性を明らかにすることを目指している。 本年度は、RNAi活性を有する配列の法則性を明らかにするためには、安定にかつ簡単にRNAi効果を測定できる感度の良い検出方法を構築する必要があり、その実験系の構築を目指した。具体的には、ターゲットmRNAを安定発現するルシフェラーゼ安定発現細胞株とGFP安定発現細胞株を作製し、これら作製した細胞株に、デザインしたRNAi配列を導入し、RNAi効果を検証した。 本研究が進むと、RNAi配列の特徴・法則性を明らかにすることができるので、RNAi活性のある配列を高確率に設計することが可能になり、革新的なRNAi技術を提供できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、RNA干渉能力を有するRNAi配列を高確率で設計できる方法論を確立することを目指すものである。そのためには、簡便で感度の良いRNAi効果を検出できる実験系が必要であり、本年度はその検出系の構築を行った。安定にRNAi効果を検出するためには、発現抑制したいタンパク質を安定に発現している細胞株が必要であると考え、まず目的タンパク質を発現する安定発現細胞株の作製を行い、樹立した。次に、既に知られているRNAi配列をRNAiモデル配列とし、その配列を含むプライマーを用いてshRNAコンストラクト(PCR産物)を作製し、先に作製した安定発現細胞株にそれぞれPCR産物を導入し、RNAi効果を検証した。その結果、既に知られているRNAi配列を用いたにも関わらず、RNAi効果は検出されなかった。この理由として、①モデルに用いたRNAi配列にその能力がない、②shRNAコンストラクト(PCR産物)が細胞に導入されていない、③導入されているがshRNAコンストラクトが機能していない、の3点が考えられる。そこで、①の検証として、モデルに用いたRNAi配列のsiRNAを作製し、細胞に導入した。その結果、RNAi効果が観察され、RNAi配列には問題がないことが分かった。次に③の検証として、shRNAコンストラクトをテンプレートにin vitroトランスクリプションを行い、shRNAコンストラクト由来のsiRNAを作製し、RNAi効果を検討した。その結果、RNAi効果は観察されず、shRNAコンストラクトが機能していない可能性が示唆された。 効果のあったsiRNAと効果のなかったshRNAコンストラクト由来のsiRNAを比較することで、モデルRNAi配列部分だけでなく、それ以外の部分にもRNAi効果に影響を及ぼす要因があるのかなどを調べることができるので、今後比較する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で使用したモデル配列には、RNAi効果があるにも関わらず、その配列を含むプライマーを用いてshRNAコンストラクト(PCR産物)を作製し、先に作製した安定発現細胞株にそれぞれPCR産物を導入し、RNAi効果を検証するとRNAi効果は観察されなかった。この原因を調べる過程で、shRNAコンストラクトのRNAi配列以外の配列がRNAi効果に影響を及ぼしている要因があることが示唆されており、今後はさらに、効果のあったsiRNAと効果のなかったshRNAコンストラクト由来のsiRNAを比較し、RNAi配列以外の配列に変異を入れるなどの操作を行い、RNAi効果の有無の要因を明らかにする予定である。 また現在一般に使用されている遺伝子導入試薬は、プラスミド(環状DNA、大きさ5-10kb)を導入することに最適化されているが、我々が用いたいshRNAコンストラクト (PCR産物)は、300bp以下の大きさの直鎖状DNAであり、通常の遺伝子導入法では、我々の用いたい遺伝子コンストラクトには最適でないと考えられる。そこで、遺伝子導入の条件検討も必要であり、こちらも同時に検討していく予定である。 そして、検出系を確立し、塩基配列は異なるがアミノ酸配列は同じ分泌性ルシフェラーゼ遺伝子(hGluc, yGluc)をモデルにシーケンシャルに用意したRNAi配列や変異RNAi配列を用いてRNAi効果を網羅的に検証する。
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