2013 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子暗号に従わない翻訳終結/再開始のメカニズムの解明:試験管内再構成系を用いて
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25660082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
今高 寛晃 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50201942)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質合成 / 試験管内合成 / 再構成 / 翻訳 / 再構成型翻訳系 / タンパク質プロセッシング / ウイルスタンパク質 / セルフリーシステム |
Research Abstract |
脳心筋炎ウイルス(EMCV)のゲノム RNAはひとつのオープンリーデイングフレームを持ち、翻訳の際ポリプロテイン(L-1A-1B-1C-1D-2A-2B-2C-3A-3B-3C-3D)の形で合成される。ほとんどの場合ウイルス自身がコードするプロテアーゼにより個々のタンパク質に分断されるが、最初の分断である2A-2Bの間の分断はウイルス由来または細胞由来のプロテアーゼによるものでなく、翻訳という過程で起こることが知られている。そこで我々はヒト因子由来再構成翻訳系を構築し、この現象にどのような因子が関わっているのかを明らかにし、分子レベルでの分断メカニズムを探ることにした。 ヒト因子由来再構成型試験管内タンパク質合成系はリボソーム、eEF1, eEF2, eRF1/3, そしてアミノアシルtRNAから成る。これまでのシステムでのアミノ酸の供給元はアミノアシルtRNAであった。しかしこのままではtRNAの再利用ができないため合成量は限られたものである。そこでアミノ酸とtRNAを結合させる酵素:アミノアシルtRNA合成酵素をすべて(20種類)リコンビナント体として十分量発現・精製し、これらを再構成系に投入し、tRNAをリサイクルさせることにより絶えずアミノ酸をリボソームに供給できるようにした。 結果として、タンパク質の合成量が格段に上がり、実験系が確立されてきた。そして本研究の目的である2A2Bの合成を試みたところ、2Aと2Bの分断はこのシステムで再現され、特別な因子が必要ではないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の計画に従ってヒト型再構成型翻訳システムを改善し、2A2Bの分断を再現することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト因子由来再構成型翻訳システムの合成量は各因子の精製度および活性に依存しているため、現時点のタンパク質合成量は実験ごとにばらつきがある。26年度は実験系の安定性を目的とし、各因子の精製の方法を見直し完全プロトコルを作成する。その上で、2A2Bの合成を行い分断メカニズムを探る。また、論文の作成に取り掛かり年度内に公表できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養に関する経費(培養液、dishなど)を価格の低いものに切り替えたため、節約できた。 引き続き低価格のものを使用して、研究の量を1.3倍程度に増やす。
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