2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子暗号に従わない翻訳終結/再開始のメカニズムの解明:試験管内再構成系を用いて
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25660082
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
今高 寛晃 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50201942)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 翻訳 / タンパク質合成 / 再構成 / 翻訳開始 / 翻訳終結 / 新生ペプチド / ペプチド鎖伸長 / ウイルスタンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト因子由来再構成型タンパク質合成システムを樹立し、論文発表に至った(J. Biol. Chem. 289: 31960-31971)。このシステムに脳心筋炎ウイルスの2A2B領域をコードするDNAを投入すると2Aと2Bが分断されて合成されてきた。このことは2A2Bの分断には特別な因子を必要としていないことがわかった。翻訳終結因子eRF1, eRF3を除いてもこの現象が起こることから、2A2Bの翻訳終結・再開始はペプチド鎖伸長の際に起こることが証明された。 更にこの現象のメカニズムを解明するために、様々な変異を2A2Bの分断部位に施した。所謂NPGP配列(2Aの最後の3アミノ酸がNPG、2Bの最初のアミノ酸がP)をそれぞれAに変えると、NPGの場合(APGP, NAGP, NPAP)はいずれも分断が起きなかったが、NPGAでは分断は50%で起こった。NPGG, NPGSでも同様に50%で起こったが、NPGN,NPGLでは10-20%の分断率であった。このことは従来の考え方「プロリンの脱プロトン化が起こりにくいため求核攻撃が遅く、2Aペプチドの影響で活性化された水分子がPサイトにあるペプチジルtRNAのエステル結合を先に攻撃し、ペプチドが離れる」には合致しない。なぜならA(アラニン)やS(セリン)は脱プロトン化が起こりにくいことはないからである。 そこでクライオEMにより構造解析を行い、詳細なメカニズムを追究することにし、現在準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的としていた再構成型翻訳システムを構築し、翻訳停止、再開始を限られた因子で再現し、そのメカニズムの解明を進めることができた。そしてその成果として論文受理(J. Biol. Chem. 289: 31960-31971)に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2Aペプチドによる翻訳終結・開始のメカニズムを解明するために、クライオEMを用いて構造解析する予定である。そのためには、リボソームをmRNA上に止める必用がある。分断が起こる瞬間はPサイトにはペプチドが結合したグリシルtRNAが存在し、AサイトにはプロリルtRNAがある状態である。まず、サイトメガロウイルスのuORF2の配列(アレスト配列)を用いて、コントロール実験を行い実験条件を整える予定である。
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Causes of Carryover |
26年度から新学術領域「新生鎖の生物学」の計画班の分担金としての研究費が入り、主な支出である消耗品の会計をその分担金で購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新学術の分担金は夏まで入金されないため、消耗品(研究として共通している)をこの基金で購入する。
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[Presentation] 試験管内ウイルス合成2014
Author(s)
今高 寛晃 町田幸大
Organizer
第66回生物工学会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター (札幌市)
Year and Date
2014-09-09 – 2014-09-11
Invited
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[Presentation] 真核細胞のタンパク質合成2014
Author(s)
今高 寛晃
Organizer
ポリアミンと核酸の共進化 第13回 シンポジウム
Place of Presentation
東京慈恵会医科大学 (東京 港区)
Year and Date
2014-06-28 – 2014-06-28
Invited
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