2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腸管非吸着性乳酸菌の選抜と食事性セシウム137除去ヨーグルトの構築
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25660097
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 忠夫 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00118358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 順子 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10241556) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セシウム / 体内汚染 / 体内除染 / プロバイオテイクス / フレイド・エッジ構造 / Biacore / ヒト腸管付着性 / 乳酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内除染に有用である可能性の一つとして注目されているのが、「プロバイオティック乳酸菌」である。2年間に渡る本研究において、以下の実験結果が得られた。 1.当研究室でヒト腸管より単離されたプロバイオテイクスの中で有用菌をBiacore試験により選抜を行った結果、ヒト腸管「低」付着性乳酸菌7菌株が得られた。これらの菌株のセシウムイオン(Cs+)吸着試験を行ったところ、全ての菌株でCs+の吸着性が認められ、その能力には菌株ごとに多様性が見られた。高Cs+吸着性乳酸菌としてMYU759、MYU761を選抜することが出来た。2.選抜菌体は吸着Cs+が蒸留水によって容易に溶出する弱い結合性、および蒸留水レベルでは容易に溶出しない比較的強固な結合性、の2種類の結合モードにて吸着していた。3.酸性領域では菌体吸着Cs+はほとんどが溶出するが、中性から弱塩基性領域では比較的安定して保持された。ヒト腸管内pHは弱アルカリ性であるために、腸管内でもこれらの乳酸菌はCs+を吸着し保持できる可能性が示唆された。4.競合イオンの存在によって菌体表層へのCs+除去量は減少するが、Cs+吸着量には大きな影響が見られず、競合イオン存在下でのCs+吸着性が認められた。5.菌体はCs+を主に菌体表層のペプチドグリカン層に吸着しており、菌体内には取り込んでいないことが明らかとなった。6.Cs+の存在形態評価から、菌体に吸着されたCs+のほとんどがpH依存性負電荷への結合であること、また微量ではあるが強固に吸着されたCs+も存在しており、菌体表層に「フレイド・エッジ様構造」があり、吸着機構に関与していることが示唆された。7.実際にこれらの菌株を使用して作成した新機能性Cs除染用ヨーグルトは、今後機会を作って実際に実施してみたいと考えている。
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Research Products
(3 results)