2014 Fiscal Year Annual Research Report
氷晶テンプレート法による海洋由来の天然高分子からの機能性ナノファイバー創製
Project/Area Number |
25660107
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
脇坂 港 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (00359944)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | キトサン / ナノファイバー / 氷晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノファイバー製造法として、物理的粉砕法やエレクトロスピニング法などがあるが、薬剤や高電圧を使用する点、微細化の均質性(配向性の付与が困難)などが課題とされている。これらの課題を克服するため、凍結を利用したミクロ構造化手法である氷晶テンプレート法に着目し、溶液の吹き付けという安全かつ簡便な操作の組合せによる新たなナノファイバー製造法を考案した。 本研究では、海洋由来の天然高分子であるキトサンの水溶液からの溶液吹き付けと氷晶テンプレート法の組合せによるナノファイバー創製に関して、凍結速度やポリマー水溶液の濃度などの操作条件と構造さらにその物性との相関を網羅的に評価した。 低濃度(0.4 wt%)に希釈したキトサン溶液をシリコンウェハー上に超音波噴霧機で吹き付け、液体窒素を用いて急速に凍結させた後に凍結乾燥させた構造体を走査型電子顕微鏡で観察したところ、配向性を持つナノサイズの繊維状構造(平均繊維径約100nm)が確認された。ここで、キトサンを溶解させる際に使用する酸の種類やキトサンの分子量により、得られる繊維径が異なった。また、凍結速度が繊維状構造の形成に大きく影響を及ぼし、凍結速度が速いほど繊維径が小さくなることを確認した。 さらに、本法を適用することにより、アルギン酸やカラギーナン、ヒアルロン酸水溶液からもナノサイズの繊維状構造形成を確認しており、他の水溶性高分子からのナノファイバー製造へ応用できる可能性が示唆された。 キトサンをはじめとする海洋由来の天然高分子多糖類には、イオン性の官能基を有するものが多く、生理的活性をはじめとする優れた機能性素材としての可能性がナノファイバー化により大きく拓かれる可能性がある。本研究では、ろ紙上に架橋剤を用いてキトサンナノファイバーを被覆し、ろ紙の機械的特性にキトサンナノファイバーによる抗菌性を付与した食品包装材としての適用可能性を実証した。
|
Research Products
(3 results)