2015 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
25660116
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokyo |
|---|
Principal Investigator |
大澤 裕樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 研究員 (90401182)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | プロアントシアニジン / アルミニウム / 根端 / 樹木根 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
プロアントシアニジン（PA）はアルミニウム（Al）結合能を有する多量体フラボノイドの一類であり、アカシアマンギウムを木本植物種根のAl耐性において保護的役割を果たす可能性が考えられる。一方、Alは根端細胞アポプラストに主に集積するのに対し、PAはシンプラストに主に集積してアポプラストへの放出が少ない。Al耐性における細胞内PA局在とその動態の役割を理解するため、アカシアマンギウム根境界様細胞と木本植物各種の根単離プロトプラストを用いて、PAとAlの細胞内関係を調べた。
＜Al処理による局在化変化＞： アカシアマンギウム根細胞をAl処理した場合、死細胞のみシンプラストへAlが侵入する一方、生細胞ではアポプラストにAlが限定された。細胞壁を除去したプロトプラストにおいてもAlは原形質膜外側に限られ、PA小胞のシンプラスト局在は不変だった。両者の空間的差異は膜損傷を受けた後でも健全な場合と比べて大きく変化しなかった。
＜シンプラストのベシクル輸送評価＞： エンドサイトシスを指標する蛍光物質はおもに中央液胞に取り込まれ、PA分布と異なった。アカシアマンギウム根端細胞の蛍光物質の取り込み活性はAl処理の有無によらず不変であることが判明し、Al侵入させずにエンドサイトシスが機能することが示唆された。アカシアマンギウム以外の木本植物種数種の蛍光物質の細胞内集積部位とPA分布部位はすべて異なったことからも、PAは原形質膜輸送に直接関与しない可能性が示唆された。
これらの結果から、アカシアマンギウムの強いAl耐性は細胞内でのAlとPAの直接的な結合にほとんど依存しないことが示唆された。
|
