2014 Fiscal Year Research-status Report
森林更新に虫害種子は貢献するか?:齧歯類による散布の真相解明
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25660119
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10283425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 晃一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60264454)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 種子散布 / 野ネズミ / 種子食昆虫 / 森林更新 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査地の環境特性を再確認し、ササの被度などについてはデータを更新した。愛知県ではクリやエゴノキなど、鹿児島県ではマテバシイやスダジイなどを対象とした。種子食昆虫の加害様式、とくにゾウムシ類の微小な産卵痕の有無を入念にチェックした。また、播種実験によって、発芽やその後の成長を調べた。さらに、CTスキャンによる内部状態の非破壊的解析を試み、切開しないで摂食の程度を定量化することに成功した。 シャーマントラップを用いて、野ネズミの生息状況を継続調査した。野ネズミの種(アカネズミ、ヒメネズミ、スミスネズミなど)、性別、体重などを記録した。指切り法によって個体識別し、放逐した。さらに、遺伝子診断により親子判定も実施した。野ネズミの密度や行動圏を、皆伐や間伐といった森林施業も加味して考察した。 種子の供試実験を再度実施した。昨年度と同様に、種子を“真の”健全、ゾウムシ類の加害、ガ類の加害に分類して餌台に並べ、周辺にセンサーカメラやビデオを配備して、持ち去り状況を追試した。エゴノキにおいては、有毒成分(サポニン)を含む果皮の影響を実証した。さらに、上述したように非破壊的に内部状態を把握した種子も供試し、野ネズミの選好性をより自然に近い条件で解明した。 持ち去られた種子の追跡についても、再現性を確かめた。テレメトリー用の電波発信器を接着した種子の持ち去り先を特定し、餌台からの距離、埋められた土壌の深さなどを記録した。周辺の環境特性も合わせて、貯食様式を検討した。 成果を国内外の学会で発表した。その中の1件で受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、①調査地の環境特性、②種子食昆虫の加害様式、③野ネズミの生息状況、④種子の供試実験、⑤持ち去られた種子の追跡の再現性を確かめることができた。種子食昆虫の成虫を捕獲することはできなかった。また、種子数の制限から、羽化成虫を得るための飼育実験、⑥種子の化学分析は実施できなかった。しかし、④を推進する上で課題であった、昆虫による摂食の程度を非破壊的に判定する方策を考案し、画期的な突破口を開いた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、②種子食昆虫の加害様式、③野ネズミの生息状況、④種子の供試実験、⑤持ち去られた種子の追跡を重点的に行う。⑥種子の化学分析は、④における野ネズミの行動習性とのより直接的な関係から、栄養物質や摂食阻害物質よりも揮発性物資の検出を試みる。
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Causes of Carryover |
テレメトリー用の発信機(1器あたり約2万円)の電池残量があり、再利用できた。また、化学分析用の薬品を購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の発信機を補充する。また、揮発性物質の検出のため、各種消耗品を追加する。他は、予定通り使用する。
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Research Products
(7 results)