2013 Fiscal Year Annual Research Report
Long-PCRによる針葉樹葉緑体ゲノム構造の解明とゲノム完全解読システムの構築
Project/Area Number |
25660124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白石 進 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70226314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 栄治 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90614256)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 葉緑体ゲノム / ゲノム解析 / 分子進化 / 針葉樹 / 植物 |
Research Abstract |
葉緑体ゲノム構造解析のためのソフトウェアの開発:針葉樹(Coniferophyta)の中で系統的に最も遠縁にあるドイツトウヒ(Picea abies)とタイワンスギ(Taiwania cryptomerioides)の2種間で塩基配列が高度に保持されている領域を探索するための解析プログラムをExcel VBAを用いて作成した。 針葉樹葉緑体ゲノムの構造変異の解析:上記のホモロジーの高い領域についてゲノム上の配列順序を調べた結果,科間では大きな構造変異が存在するものの,マツ科(Pinaceae)内,ヒノキ科(Cupressaceae)内,マキ科(Podocarpaceae)内では非常に類似していることが明らかとなった。これら3科で針葉樹の大半を占めることから,針葉樹の多くの種での効率的な葉緑体ゲノム解読の可能性が示された。 針葉樹・葉緑体ゲノム分析系の構築:上記の3科におけるゲノム解読系について検討した。高度に保持されたDNA領域上に,3科それぞれに特異的なプライマー群を設計し,Long-PCRで増幅,PCR産物を酵素で切断し,次世代シーケンサーで塩基配列を決定する新規のゲノム解読法を構築した。 ヒノキの葉緑体ゲノムの解読:葉緑体ゲノムが未解読なヒノキにおいて,高純度葉緑体調整の困難性がネックになっている従来方式の欠点を克服した簡便法を試みた。難しい針葉からの完全単離に代わり,単離容易な葉緑体膜リッチ画分の利用を試みた。これで得られたDNAのほとんどは葉緑体DNAであり,核やミトコンドリアDNAのコンタミは非常に少なかった。次世代シークエンサーで分析した結果,合計110 kbpの塩基配列が得られ,ヒノキの葉緑体ゲノムがほぼ解読された。本手法は,全ての針葉樹種で応用可能であることから,構造変異が多い針葉樹においては,前段の新規法と共に葉緑体ゲノム解読に有効である。
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