2013 Fiscal Year Research-status Report
不定胚を由来するザイセンチュウ抵抗性マツのクローン増殖技術の開発
Project/Area Number |
25660126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
丸山 毅 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 領域長 (20353865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 佳久 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, チーム長 (50353842)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体細胞増殖 / 体細胞分化 / マイクロプロパゲーション / 不定胚形成 / 多芽形成 / アカマツ / クロマツ / ヤクタネゴヨウ |
Research Abstract |
マツノザイセンチュウによるアカマツやクロマツ等の松枯れ被害は、我が国で最も深刻な森林病虫害である。その対策として、抵抗性個体の作出や育成の試験研究が各地で進められている。一般に、屋外に生育する個体の中から松枯れに強い個体を選び、何代かにわたって交配と選抜を繰り返し、マツノザイセンチュウに強いものを選び、その個体を増やして植える、といった手法がとられている。これまで、実生や挿し木による苗木生産が主に行われているが、これらの方法では増殖に時間がかかり、大規模植林への実用的な対応が難しいという問題がある。本課題では、組織培養の技術を用いて、茎葉や芽などの栄養組織から不定胚や苗条原基を作出し、マツのクローン増殖法を開発することを目的としている。 本年度は、野外に生育するアカマツ、クロマツやヤクタネゴヨウの栄養組織外植体を用いて無菌化するための外植体の採取時期、外植体の培養前処理の効果、滅菌試薬の濃度、滅菌処理の時間や酸化防止剤添加の効果等について調べ、最適条件を明らかにした。滅菌後の培養については、3樹種の栄養組織外植体を用いて、外植体の温度処理、成長調節物質を含めた培地条件、培養環境等を検索して、組織・細胞の増殖効率について最適条件を検討した。培地条件については、成長調節物質の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、6-ベンジルアミノプリン(BAP)、1-トリアコンタノール(TRIA)やサリチル酸(SA)を含有したDCR培地(Gupta & Durzan 1985)あるいはMS培地(Murashige & Skoog 1962)が増殖に適していた。その結果、各種の茎頂切片や針葉切片からカルス誘導を効率的に行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アカマツ、クロマツやヤクタネゴヨウの栄養組織外植体として用いた茎葉、針葉、新芽などを無菌化するため、数個体の外植体を用いて、滅菌試薬類、試薬濃度や滅菌処理時間などを検索し、最適条件を明らかにした。培養については、基本培地類、成長調節物質の添加や培養環境条件などを検索することにより、茎葉切片や針葉切片からのカルス誘導を効率的に行うことが可能な培養条件を検討した。これらにより当年度の研究目標をおおむね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今回得られた最適培養条件を参考とし、引き続き各種マツや種内系統間のカルスの誘導効率を比較検討する。さらに得られたカルスや、新芽などの組織から苗条原基の誘導が可能であるかを検証し、その効率を比較検討する。また、分化や個体再生実験には相当数の試料が必要となるため、必要十分なカルスや苗条原基などを維持増殖する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況を踏まえて、次年度に使用する額が予定より多くなると予想されたため、一部の額を次年度に繰越した。 研究推進のためには、植物培養用関連試薬や培養器具類、無菌操作用消耗品などの購入、植物の培養などに必要な実験補助員の人件費や植物試料のサンプリングに必要な調査旅費の使用を計画している。また、得られた研究成果を研究集会で発表するために必要な旅費の使用を予定している。
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Research Products
(7 results)