2014 Fiscal Year Research-status Report
不定胚を由来するザイセンチュウ抵抗性マツのクローン増殖技術の開発
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25660126
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
丸山 毅 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 領域長 (20353865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 佳久 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, チーム長 (50353842)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 体細胞増殖 / 体細胞分化 / マイクロプロパゲーション / 不定胚形成 / 多芽形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、組織培養の技術を用いて、茎葉や芽などの栄養組織から不定胚や苗条原基を作出し、マツのクローン増殖法を開発することを目的としている。 本年度は、クロマツ、アカマツ、リュウキュウマツやヤクタネゴヨウの野外成木個体の外植体から誘導したカルスを用いて、維持・増殖の培養条件を検索した。その結果、成木の由来、培養する器官や採取時期などによって外植体の反応は異なったが、植物成長調節物質の 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)または 1-ナフタレン酢酸(NAA)と 6-ベンジルアミノプリン(BAP)の添加が維持・増殖培地に適していることがわかった。そして各樹種について、茎頂切片や針葉切片から得られたカルスを定期的に増殖することが可能であることを明らかにした。また、クロマツの茎頂切片を用いて多芽体の誘導が可能であることが確認できた。ヤクタネゴヨウの針葉については、高濃度のショ糖や2,4-Dを添加した培地で一定時間(6、12、24、48時間)培養後、ポリエチレングリコール(4000)等を添加した不定胚形成用の培地に移植して培養したところ、変化はみられなかった。しかし、オーキシンとして2,4-Dと、サイトカイニンとして、ホルクロルフェニュロン、チジアズロンをそれぞれ組み合わせて添加したMurashige-Skoog (MS)培地やWoody Plant Medium (WPM)培地で培養したところ、分裂活性の高い鮮緑色のカルスが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アカマツ、クロマツやヤクタネゴヨウの栄養組織外植体として用いた茎頂切片や針葉切片から得られたカルスを定期的に増殖することが可能であることを明らかにした。分裂活性の高い鮮緑色のカルスが得られるため、植物成長調節物質のオーキシンやサイトカイニンの組合せを検討した。また、クロマツの茎頂切片を用いて多芽体の誘導が可能であることが確認できたことから、当年度の研究目標をおおむね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、誘導したカルスや苗条原基からの個体再生を目指し、茎葉や根などの器官分化効率や個体再生率を明らかにする。また、プロトプラスト培養は、培養する細胞に対して大きなストレスをかけることになり、器官分化や不定胚形成などを引き起こす効果が通常の組織培養に比べて高まることが期待される。そのため、誘導したカルスや苗条原基などについて、プロトプラスト培養が可能であるかを検討する。
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Causes of Carryover |
プロトプラスト培養実験を次年度実施することとしたため、一部の額を次年度に繰越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
器官分化実験やプロトプラスト培養実験にかかる植物培養用関連試薬、無菌操作用消耗品に使用する。また、得られた研究成果を研究集会で発表するための旅費に使用する。
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Research Products
(9 results)