2013 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンシングによる網羅的解析でヒノキ発根性関連遺伝子に迫る
Project/Area Number |
25660127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松本 麻子 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 室長 (90353862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 真義 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (40414479)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発根性 / ヒノキ / RNA |
Research Abstract |
平成25年4月26日および4月30日に、挿し木発根性に優れたヒノキであるナンゴウヒ(系統名:ナンゴウヒ14型)および、挿し木では発根しにくいとされているヒノキ精英樹(大井6号)の挿し木を行った。各系統30本の挿し木を行い、10日毎に3ヶ月間発根調査をした。最終的な発根有無の評価は6ヶ月後にあたる10月下旬に行った。その結果、ナンゴウヒでは挿し木後1ヶ月には発根開始が確認され、3ヶ月後には85%にあたる25本で発根が見られた。一方、大井6号は調査期間を通じて発根がみられず、3ヶ月後ではほとんどの挿し穂の切り口がカルス化していた。6ヶ月後の最終判断時には、1個体で発根が見られた以外は、全てカルスを形成していた。以上から、ナンゴウヒ14型の発根性の良さと発根までの期間が確認できた。 続いてナンゴウヒ、および大井6号からのRNA抽出を行った。挿し木当日およびその後10日毎に50日後までの合計6回、採取した本葉を-80℃で凍結保存した後に抽出に用いた。凍結保存期間は短いサンプルで3週間、長いサンプルで2ヶ月だった。その結果、いずれの本葉からも十分な量のRNAを抽出することは出来なかった。一方、本葉を採取後速やかにRNA抽出を行った場合には、500mgの本葉から約1.5~2μgのRNAが抽出できた。このことから、ヒノキのRNA抽出には凍結サンプルは適さず、採取後速やかに抽出を行う必要があることが明らかになった。抽出後のRNAについては、濃度を調整し、次世代シーケンサーを用いたRNAシーケンスを行うために、バイオアナライザーで濃度測定をし、-80℃で保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的に対して、進行はやや遅れている。平成25年度中に次世代シーケンサーによるRNAシーケンスを行うところまでを予定していたが、RNA抽出までしか完了できなかったためである。理由としては、これまでスギ等で行っていたRNA抽出方法と同様では、ヒノキ本葉からは十分量のRNAが抽出できず、手法の再検討を行う必要があったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
目標達成の進度は遅れているが、十分量のRNAの確保は出来たため、今後、速やかに次世代シーケンサーによるRNAシーケンスを始めることで、進度の回復は可能である。また、実験補助を雇用することで、課題遂行の迅速化をはかる。よって、研究計画に変更はなく、平成26年度の課題の推進はできるものと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次世代シーケンサーによるシーケンスのためのRNAの準備に遅延が生じたため、次年度に実行することとした。そのため、当年度に使用する予定だったシークエンス関連試薬などの一部の購入が行われず、次年度使用額が生じた。 次年度使用分と翌年度分として請求した助成金を合わせ、約150万円の助成を予定している。翌年度に移行した次世代シーケンサーによるRNAシーケンスには、およそ100万円の経費(試薬、消耗品代など)を見込んでいる。その他、課題推進を加速する手段として実験補助員を採用した際の謝金等に約40万円、旅費などに10万円程度を見込んでおり、助成金額内で課題を執行することができると判断した。
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