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2014 Fiscal Year Research-status Report

深海底に残るピロリ菌誕生過程の足跡:祖先型微生物と大型生物の網羅的相互作用解明

Research Project

Project/Area Number 25660146
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

中川 聡  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70435832)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords深海底熱水活動域 / 細胞外共生 / 環境応答 / マルチオミックス
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、深海底熱水活動域に見られる特異な『細胞外共生微生物とそのホスト生物』の相互作用を、網羅的に分子レベルで解明することにある。具体的には、深海生物を様々な環境下で船上飼育し、ホスト生物および共生微生物における発現遺伝子・代謝物質の時系列マルチオミックス解析により、生物毎の生命現象および生物間の相互作用を遺伝子・代謝物質レベルで網羅的に解明するとともに、内部共生および病原性近縁種-ホスト生物間の相互作用と比較検証することにより体系的に解明することを目指している。
平成26年度は、中部沖縄トラフに位置する深海底熱水活動域において、海洋研究開発機構の有する船舶・ROVを用いた調査航海を実施した。水深約1000mの海底から複数の細胞外共生生物および細胞内共生生物を新規に採取し、船上にて解析試料を調整することに成功した。現在、これらの試料から発現遺伝子の網羅解析(トランスクリプトーム解析すなわちトータルRNAの抽出、分画、rRNAの除去)および代謝物質解析(各種溶媒を組み合わせた抽出)用の試料を調整しているところである。試料調整において、特に共生微生物とホスト生物の両者を完全に分離(特に共生微生物細胞のみを調整)することが想定より大変困難であったが、様々な物理化学的手法の組み合わせにより、その手法をほぼ確立することに成功している。なお、以上に関連する成果の一部は複数の学会や国際誌上で報告した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

中部沖縄トラフに位置する深海底熱水活動域において、生物試料を新規に採取し解析試料を調整している。解析用の試料調整においては、共生微生物とホスト生物の両者を分離することが想定より困難であったが、様々な物理化学的手法の組み合わせにより、その手法をほぼ確立することができた。これらは今後種々の解析において基盤的役割を果たすと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度は上述した手法により調整した試料を用いて、次世代シーケンサーを用いた発現遺伝子の網羅解析(トランスクリプトーム解析)および代謝物質全同定を行う。トランスクリプトーム解析において得られた配列を用いて、データベース上に公開されている甲殻類のESTデータを含めてカテゴリー分類と相同性検索に基づく機能アノテーションを行なう。各々の船上飼育個体に由来するライブラリでの出現頻度を比較するのみでなく、各生物における発現様式に有意な相関が見られるものを選択することにより、各環境条件における生物間相互作用に特異的な発現様式を示す遺伝子群を同定することが可能となる。また代謝物質全同定においては、船上飼育条件に応じた各代謝物質の増減を見るのみでなく、同位体情報を加味し生物間の増減に相関が見られるものを選択することにより、生物間相互作用に特異的な代謝・接着因子・生物間を行き来する代謝物質を同定する。共生微生物・ホスト生物両者の環境応答・組織毎の代謝に関わる分子機構を、ベイジアン解析に基づき遺伝子・代謝ネットワークとして表現し、公開されている近縁の病原性微生物―ヒト間の遺伝子ネットワークおよび過去に解析した細胞内共生系のものと比較し、その進化過程を解析する。

Causes of Carryover

本年度は発現遺伝子の網羅解析および代謝物質解析を実施予定であったが、試料調整において上述した困難が生じたため、その費用を次年度使用額とした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上述したとおり既に共生微生物とホスト生物の両者を分離する手法をほぼ確立することが出来たため、平成27年度は当該手法を用いて調整した試料を用いて発現遺伝子の網羅解析および代謝物質解析を実施する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2015 2014

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Deep-sea Rhodococcus sp. BS-15, lacking the phytopathogenic fas genes, produces a novel glucotriose lipid biosurfactant.2014

    • Author(s)
      Masaaki Konishi
    • Journal Title

      Mar Biotechnol (NY)

      Volume: 16 Pages: 484-493

    • DOI

      10.1007/s10126-014-9568-x

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Epsilonproteobacteria:特殊環境のスペシャリスト2014

    • Author(s)
      中川 聡
    • Journal Title

      Journal of Japanese Society for Extremophiles

      Volume: 13 Pages: 63-70

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Hemagglutination activity in the serum of deep-sea vent endemic crab.2015

    • Author(s)
      藤吉 奏
    • Organizer
      第88回日本細菌学会総会
    • Place of Presentation
      長良川国際会議場(岐阜県岐阜市)
    • Year and Date
      2015-03-26
  • [Presentation] 深海底熱水活動域に生息する甲殻類の血清中血球凝集タンパク質因子の探索と性状解析2014

    • Author(s)
      藤吉 奏
    • Organizer
      極限環境生物学会2014年度(第15回)年会
    • Place of Presentation
      今帰仁村コミュニティーセンター(沖縄県今帰仁村)
    • Year and Date
      2014-11-02
  • [Presentation] 深海底熱水活動域に生息する無脊椎動物の血リンパ中レクチンの探索と性状解析2014

    • Author(s)
      藤吉 奏
    • Organizer
      環境微生物系学会合同大会2014
    • Place of Presentation
      浜松アクトシティコングレスセンター(静岡県浜松市)
    • Year and Date
      2014-10-24
  • [Presentation] 深海底熱水活動域に生息する甲殻類の血リンパ中異物認識因子の探索―ゴエモンコシオリエビの胸毛ファーム―2014

    • Author(s)
      藤吉 奏
    • Organizer
      第8回細菌学若手コロッセウム
    • Place of Presentation
      ホテルニセコいこいの村(北海道虻田郡)
    • Year and Date
      2014-08-06

URL: 

Published: 2016-05-27  

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