2013 Fiscal Year Research-status Report
文理融合アプローチによる沿岸生態系の包括的価値評価と保全・管理方策の提案
Project/Area Number |
25660147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小路 淳 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (10397565)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 沿岸生態系 / 価値評価 / 保全 / 管理 / 文理癒合 |
Research Abstract |
沿岸生態系は多様で多くの恩恵を人類に供給するにもかかわらず,その価値評価は陸域に比べて世界的にも大きく立ち後れている.生態系の価値が適正に評価されていない現状が,沿岸域をめぐる保全・開発の対立を生みだす要因となり,地域によっては大きな社会問題となっている.問題の根本的解決のためには,沿岸生態系に備わった物理・化学過程,生物生産,文化価値,非利用価値などの多様な価値を定量的かつ包括的に評価する調査・研究手法の統合が緊急的課題である.本研究では,申請者らが全国のサイトで実施してきたフィールド調査(理系的手法)と,仮想評価法(文系的手法)を統合した「文理融合的手法」により沿岸生態系の包括的価値評価に取り組む.日本特有の多様な自然環境と人間による利用形態に応じた沿岸生態系の管理手法を提案し,人類が長期にわたって安全・安心・豊かな資源を享受できる沿岸生態系との関わり方の確立をめざす. 沿岸生態系の多様な価値を包括的に評価するために,現場調査(理系的手法)とアンケート(文系的手法)を併用する.前者では,物理・化学・生物過程を定量評価するための水中観測,生物採集により,おもに直接利用価値(例:魚介類生産)と間接利用価値(水質浄化)を,後者ではトラベルコスト法やCVM等により一部の間接利用価値(レジャー,観光)と非利用価値(生物多様性)の評価を試みる. H25年度には,潜水センサスにより水中植生の目視調査を行い,藻場の面積,被度などを測定する現場調査を実施した.併せて,巻き網を用いた魚類採集を各サイトで実施し,藻場面積と魚類群集に関する定量的データを得て主に直接利用価値推定のための野外観測データを入手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたフィールド調査を実施し,野外データを入手することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
計画に沿って2年目の野外観測と分析を実施し,環境の価値を包括的に評価する予定.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
天候および藻場の繁茂状況による調査計画の変更が生じたため 調査期間,人員の調節により相殺して使用する予定
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