2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25660152
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 克文 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50300695)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | バイオロギング / 画像 / 加速度 / データロガー / 採餌 / マンボウ / マッコウクジラ / 深海ザメ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、加速度計と画像記録計を同時に動物に搭載し、2つのパラメータが両方得られている間に、採餌や繁殖などに関わる重要なイベントを検出し、行動要素とそれぞれに特徴的な加速度波形の対応関係を得た上で、長期におよぶ加速度時系列データからイベントを抽出するアルゴリズムを開発することにある。 1)マンボウの体温変化に対応した効率よい採餌行動;光源付き静止画像記録計と行動記録計によるデータを解析したところ、マンボウは水面と深度200メートルの間を日中に何度も往復し、深い深度帯で遭遇するクダクラゲを捕食しているということが判明した。体温データも合わせて記録したところ、深い深度で採餌中に低下する体温を、水面付近の温かい海水で温めていることが判明した。さらに、体サイズに応じた体温変化の違いに応じて、各個体が餌のいる深度にいる時間割合を最大化するように振る舞っていることが分かった。 2)マッコウクジラの頭足類捕獲行動:マッコウクジラに光源付き静止画像記録計と行動記録計を取り付けデータを解析したところ、深度700~1000mで時々急旋回を伴うダッシュを行っており、その際、イカの墨らしきものが画像に写っていた。マッコウクジラは深海で活動的に追尾することで餌を捕らえていることを示す傍証を、世界で始めて画像記録としてとらえる事ができた。 3)ハワイ近海に生息する深海ザメ2種に光源付き静止画像記録計と行動記録計を取り付けデータを解析したところ、従来体密度が海水よりも重いとされていたサメ類が、生息深度においては正の浮力を有することが判明した。画像には時々海底が映っており、深海ザメは昼夜で異なる深度で生息していた。深く冷たい深海で日中過ごし、体温が下がってしまった後、浅い深度へ浮上するのにこの正の浮力が役立っているものと思われる。
|