2014 Fiscal Year Annual Research Report
発電機内蔵・高精度ジャイロスコープ搭載ロガーの開発と魚類の摂餌生態解明への応用
Project/Area Number |
25660156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒井 修亮 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (20252497)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ジャイロスコープ / 振動発電 / 電池寿命 / データロガー / バイオロギング / energy harvest / 回転運動 / 摂餌行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋生物を自然環境下において長期間にわたって「いつ」、「どこで」、「どのように」摂餌するかを計測することは重要な課題である。近年、加速度センサを搭載したロガーにより遊泳・休息などの行動計測が可能になった。しかし従来の加速度ロガーでは、回転運動などを伴う摂餌行動を直接計測することが困難である。また従来のロガーでは、計測時間がせいぜい5日程度と限られ、生態的に十分な情報を得ることができない。そこで回転角速度を計測できるジャイロスコープを搭載すること、ならびに生物の振動力で発電が可能な最新のマイクロ振動発電機を搭載することによって長期間にわたる摂餌行動などを計測できるデータロガーの開発を行った。 本研究では、生物振動に着目した振動発電装置のプロトタイプを製作した。海洋動物は推進力を発生するために「はばたき」や「鰭振動」を行う。すなわち運動に伴い振動する。製作した振動発電ユニット(30 x 30 x 12mm3)をブリ(尾叉長59.4cm、体重2.5kg)の尾鰭部分に装着し、直径2m、深さ45cmのキャンバス水槽内で実験を行った。その結果、得られた36分間のデータから尾鰭の最大の振動数は1.76Hzで最大の加速度は0.32gを示した。この間、得られた電力だけではロガーを駆動させることはできなかったものの、ロガーに搭載されている充電池の電位差の低下を抑制することが確認できた。すなわち振動発電ユニットによる発電電力は、電池寿命を約1割伸ばせた。またジャイロスコープを搭載したデータロガーについては、32 x 12 x 12mm3、空中重量9gの樹脂包埋ロガーに3軸加速度、3軸ジャイロ、3軸地磁気センサおよび水温、深度センサを搭載した超小型ロガーの開発に成功した。このロガーについては研究協力者が技術顧問を務めるロガー開発会社(Biologging Solutions Inc.、京都市)から市販されている。
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