2013 Fiscal Year Research-status Report
サンゴの「個性」がストレス耐性の鍵?-ゲノム科学による解明-
Project/Area Number |
25660172
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
新里 宙也 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 研究員 (70524726)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | サンゴ / ゲノム / SNP / ストレス |
Research Abstract |
本研究ではサンゴのゲノム情報を駆使し、サンゴ礁の危機・白化現象を引き起こす主な原因「高温ストレス」への、サンゴの耐性・適応に関わる遺伝子を特定することを目的とする。サンゴのストレス耐性は個体により著しく異なるという点に注目し、高温ストレスに耐性がある個体と敏感な個体を複数選別し、そのゲノムを比較することで、高温耐性や適応に関わる遺伝子の特定を行う。本年度は、高温ストレスに耐性があるサンゴ個体の特定に取り組んだ。全ゲノムが解読されているコユビミドリイシ(Acropora digitifera)を対象種とした。生息環境などの違いを出来るだけ少なくするために、コユビミドリイシが豊富に生息し、琉球大学・熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設がある沖縄県・瀬底島周辺からサンプルを採取した。研究協力者の井口亮(沖縄高専)により、20群体を用いた飼育実験が行われた。約一ヶ月にわたる高温ストレス処理(32℃、通常より5℃高温)を行い、成長率や光合成活性を比較したところ、成長に著しい差が見られる個体が確認された。サンゴには光合成を行う微細藻類、褐虫藻が共生しており、褐虫藻のタイプがサンゴのストレス耐性に重要だと考えられてる。サンゴと褐虫藻の塩基配列が混ざりあった膨大なデータから、共生している褐虫藻のタイプを見分けるコンピュータの解析法の開発も行い、その成果の一部を論文として発表した(Shinzato et al., 2014)。さらに遺伝子マーカーを用いて簡単にサンゴの個体を識別する手法も開発し、論文を投稿した(Shinzato et al., accepted)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年夏に沖縄本島周辺で高海水温が確認され、サンゴの白化現象が起こった。琉球大学瀬底実験施設の水槽で飼育しているサンゴの大部分も白化現象により死亡した。そのため、水槽を用いたストレス実験を行えた個体数が少なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
高温ストレスへの耐性・適応に関わる遺伝子特定の精度を上げるために水槽実験を継続し、さらに数多くのストレスに強い個体、弱い個体の特定を行う。強い個体、弱い個体それぞれ10個体程度集まったら、それぞれの個体の全ゲノムを解読して比較し、ゲノム上のどの部分がストレスへの耐性に効いているのか特定したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年夏の沖縄本島周辺での高海水温により、琉球大学瀬底実験施設の水槽で飼育しているサンゴの大部分も白化現象により死亡したため、当初の実験計画に遅れが出ているため。 昨年度に終了予定の飼育実験を、今年度も継続して行う。
|
Research Products
(5 results)