2014 Fiscal Year Research-status Report
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25660181
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
及川 洋征 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70323756)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ベトナム / カンボジア / もみ殻くん炭 / 土壌改良 / 有機農業 / 資源循環 / 技術普及 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、研究協力者らとともに、ベトナムおよびカンボジアにおいて、農家・民間企業の有機農業・土づくりの取り組みについて追跡調査を行った。 1、ベトナム、トゥアティエン・フエ省では、研究協力者の普及活動により、炭入りボカシを活用しながら有機稲作に取り組む農家が30世帯ほどに増えてきた。イネ集約栽培法(SRI)の応用過程で、機械化による労働コストを減らそうとしている。 2、同省・バックマー国立公園緩衝地帯において、JICA草の根技術協力事業を通じて炭入りボカシづくりを修得した農家36世帯に対してアンケート調査を行った。多くの農家は、もみ殻くん炭をやいていたが、炭入りボカシを製造・利用している世帯は、生産物販売にも取り組む篤農家に限られていた。資材調達・発酵に手間のかかるため、自給中心の農家は、当該技術を採用していないと理解された。 3、同地域内の農業生産企業では、共同研究者の技術協力により、養豚場の豚糞と、精米所からのもみ殻・米糠、キャッサバ工場の残渣等を利用し、炭入りボカシを製造するようになった。有機肥料を必要とする農家との連携が可能になっている。 4、カンボジア王立農業大学において研究協力者らは、もみ殻およびヒマワリヒヨドリ由来のバイオ炭を用いた圃場試験を行い、肥料との組み合わせにより砂質土壌の土づくりにも有効であることを明らかにした。 5、カンボジアの協力企業においては、もみ殻くん炭の施用が自主的に進められた。次年度より、同社が取り組んでいるコンポントム州の氾濫原における新規開墾地を借りて、バイオ炭およびマメ科緑肥を用いた土づくりの実証試験を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、計画2年目の今年度より、農家圃場試験の反復継続により、土壌改良・土づくりの過程、さらなる技術改良の可能性を現地協力農家とともに学んでいく予定であったが、研究協力者との現地調査の期間を十分に確保することができず、圃場試験を始めるための特定の農家の人材発掘と、その農家に対する技術普及に十分に取り組めなかった。ただし、現地研究協力者による土づくりの取り組みは、各地で自主的に進められており、現地参加農家へのインタビューをまとめることにより、当初の目的が達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナムでは、これまで通り、フエ市近郊およびバックマー国立公園緩衝地帯での有機農家の取り組みを追跡し、彼らによる土づくりの経験・技術を調査する。カンボジアでは、コンポントム州の新規開墾地における圃場試験を通じ、近隣の農村住民との技術交換を試みる。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金は、現地圃場試験の遅れにより支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
カンボジア王立農業大学の研究協力者が、研究代表者の所属機関に引き続き留学しており、現地派遣のための旅費として使用したい。
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