2014 Fiscal Year Research-status Report
土中の窒素動態に対して水分流れにともなう土壌微生物の移動が与える影響
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25660186
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
武藤 由子 岩手大学, 農学部, 講師 (30422512)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土壌微生物 / 窒素動態 / ATP量 / 水分移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,土壌の簡易ATP量測定法を応用し,水分流れにともなう土壌微生物の移動量の定量化と土壌微生物の移動が土中の窒素動態に与える影響を明らかにすることである.研究の手法は室内実験であり,以下の4点について定量的に調べることを目指す.1 土壌の水分量と窒素濃度に応じた土壌微生物の分布状態,2 水分流れにともなう土壌微生物の移動量,3 土壌微生物の移動量とアンモニア態窒素・硝酸態窒素動態の関係,4 土壌微生物の分布状態・移動量と土壌電荷特性の関係.計画では,1年目に「土壌微生物量の経時変化」と「土壌の水分量と窒素濃度に応じた土壌微生物の分布状態を調べる」実験(上述の1と4に該当),2年目に「砂質土を使って水分溶質流れにともなう土壌微生物の移動量を調べる実験」(上述の2と3と4に該当),3年目に「黒ボク土を使って水分溶質流れにともなう土壌微生物の移動量を調べる実験」(上述の2と3と4に該当)を行うこととしている.2年目であったH26年度には,計画の通り「砂質土を使って水分溶質流れにともなう土壌微生物の移動量を調べる実験」を行った.その結果,水分流れにともなうアンモニア態窒素・硝酸態窒素・ATPの移動を同時に捉えることができた.さらに,3年目に予定した「黒ボク土を使って水分溶質流れにともなう土壌微生物の移動量を調べる実験」の一部も行った.その結果,試料の電気的性質の違いがアンモニア態窒素の挙動に影響することが示された.また,いずれの実験においても試料が飽和状態であったことから硝化によるアンモニア態窒素から硝酸態窒素への形態変化は起こらなかった.そこで,来年度は飽和だけでなく排水過程や蒸発過程といった不飽和状態の試料で同様の実験を行う必要もあると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載の通り,計画した実験を全て行い目的を達成することができた.来年度に計画された実験の一部をすでに行い研究は計画よりも若干進んでいる.ただし,これまでの研究で,計画していた以外の条件での実験の必要性も示唆されたことから「おおむね順調に進展している」の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である平成26年度までは,申請時に計画分の実験を進めることができた.来年度に予定していた実験の一部も今年度中に行っているが,他の条件での実験の必要性が示唆されており,3年目に計画していた残りの実験とともに,追加の実験も行う予定である.
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Research Products
(5 results)