2015 Fiscal Year Annual Research Report
福島における放射性セシウムの土壌中の挙動・流出経路・稲への移行メカニズムの解明
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25660188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩澤 昌 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80134154)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 移行係数 / 交換態セシウム / 土壌への弱い固定 / 土壌への強い固定 |
Outline of Annual Research Achievements |
著者らのフクシマこおけるこれまでの土壌中の放射性セシウム移動調査およびホウレンソウの移行係数のモニタリングデータを解析した結果は、放射性セシウムが2011年3月に降下沈着した直後の2-3か月間は、意外に土壌水とともに移動しやすく、作物にも移行しやすい形態であったことを示しており、当初の土壌への弱い固定から時間をかけて強い固定への移行に進んだと考えられる。この弱い固定から強い固定への移行プロセスをCs-137を添加する室内実験で明らかにした。 フクシマの3つの水田土壌に、薬品のCs-137を添加した試料を作り、その後の交換態Cs(1M酢酸で抽出されるCs-137 = 弱い固定を示す)の経時変化を250日間測定した。用いた水田土壌は以下である:(1)郡山(フクシマの典型的な水田土壌)(2)伊達(2011年に500Bq/kgの基準超過米を産出した水田土壌)、(3)南相馬(2013年に100Bq/kgの基準値を超過した水田土壌)。この結果、Cs-137添加から1-2か月は交換態(弱い固定)の割合が速く減少し(半減期10-20日)、その後は遅くなった(半減期数か月から数年)。郡山に比べて、伊達と南相馬土壌の2011年および、交換態Csの減少(強い固定の増加)が遅かった。とくに南相馬土壌は著しく遅く、原発事故から2年以上も経て基準値を超える汚染米が産出された原因が土壌のCs固定力が著しく弱いことにあることを強く示唆している。
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Research Products
(4 results)