2013 Fiscal Year Research-status Report
水稲の節水栽培と高温障害抑制を両立する水管理手法の開発
Project/Area Number |
25660192
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
藤原 洋一 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (10414038)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 水田灌漑 / 高温登熟障害 / 飽水管理 / 保水管理 / 地温 / 水温 / 玄米品質 / 温暖化適応策 |
Research Abstract |
一筆5aの水田の中央を波板で区切り、湛水区2.5a、飽水区2.5aの圃場を用意した。施肥は、全量基肥として速効性NPK肥料(N:3g/m2、P2O5:6g/m2、K2O:4.2g/m2)、緩効性N(ホルムウレア40%)を4gN/m2施用した。両区、両品種ともに5月18日に田植えを行い、その後は両区とも湛水管理を行って、低温による生育障害の恐れがなくなった6月29日からコントロールを開始した。湛水区では湛水深がおよそ5cmを維持するように管理し、飽水区では飽水状態を保つように管理を行った。8月28日からは収穫作業に備えて両区とも落水し、9月下旬に収穫して収量、玄米品質調査を行った。 まず、最高地温、最低地温の変化を比較したところ、全期間の平均で見ると、飽水灌漑では最高地温は0.55℃高く、最低地温は0.44℃低い結果であり、理想的にコントロールできていた8月で比較すると、飽水灌漑では最高地温は0.5℃高く、最低地温は0.5℃低い結果であった。次に、酸化還元電位の比較を行ったところ、作土7cmの酸化還元電位を見ると、湛水区では-50~-200mVとなっており還元状態であるのに対して、飽水区では100~500mVとなっており酸化的な土壌環境であった。さらに、整粒率を比較すると、コシヒカリでは湛水区40.3%、飽水区42.1%、日本晴では湛水区67.5%、飽水区69.5%となっており、有意差はなかったものの飽水管理の方が整粒率が高い結果となった。また、玄米品質について見ると、有意差はないもののほとんどの項目に関して飽水管理の方が品質が向上する傾向が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りの実験を行うことができ、また、結果についてもおおよそ想定していたデータが得られたことから、研究は順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様の実験を行うことによって、気象条件の違いによって結果がどの程度変わるのかを確認する。また、品種による違い、飽水管理を開始する時期による違いについて攻究する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定していたセンサー類(温度、土壌水分計など)の状態が良かったことから、追加購入する必要がなくなったため。 センサーを再度チェックし、欠測が生じる可能性のあるものについては更新を行う。
|