2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25660195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
吉永 育生 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・水利工学研究領域, 主任研究員 (50414420)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / ため池 / 底質 / 底泥 |
Research Abstract |
市販のCsI検出器を応用し、水域底質に存在する放射性Csから放出されるガンマ線を現場で簡便に計測できる装置を開発した。 装置は、水中に投下する計測装置と制御装置で構成される。計測装置は、市販のCsI検出器、タブレットPC、GPSロガーを内径20cmのアクリルの防水容器に内包する。制御装置は、制御用PC、無線LANルーターとBluetoothキーボードである。計測にかかる制御は、無線LAN、Bluetoothを介して実施するため、防水容器は常に密封した状態で取り扱うことが可能であり、電気的なケーブルは繋がっていない。 開発した装置の特徴は以下のとおり。1.CsI検出器の周辺は空気であるためガンマ線が遮蔽されにくく、効率的な計測が可能である。2.直径20cmの範囲を計測対象とするため、局所的な放射性Csの分布の偏りに影響を受けにくい。3.計測作業は、計測を開始してボートから水中に投下した後、引き上げるだけであるため、取り扱いが容易である。4.外周部の鉛のおもりで比重を調整できるため、底質が柔らかい場合でも沈み込むことなく表層のガンマ線を計測することができる。 開発した装置を使い、福島県内のため池において計測を実施した。1箇所の計測時間を4分間としたところ、1時間でおおよそ6箇所の計測が可能であった。また、水深4mにおける底質の計測が可能であった。 得られた成果について、特許を出願すると共に、学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地で計測可能な装置を開発しており、順調に進捗している。また、底質から放射されるガンマ線の計測条件についても整理を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ため池の底質では、狭い範囲でもCs濃度が大きく異なる事例が報告されている。そのため、Csの面的な分布状況を把握することを目的として、計測の効率化に重点を置いて、以下の試験研究を実施する。 1.計測手順の効率化をはかる。現時点で時間を要している、データ保存にかかるアプリケーションの改変を行う。 2.GPSデータとの連携を行う。水上では、計測位置の特定が難しいため、作業が非効率となる場合がある。そこで、ガンマ線の計測値とGPSデータとを連携するアプリケーションの開発により、計測作業の効率化をはかる。 3.計測時間の短縮をはかる。検出器に、より多くのガンマ線が到達するよう、装置の計測手法の効率化、高精度化をはかる。
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