2013 Fiscal Year Research-status Report
植物工場における食中毒関連細菌計数用デバイスに関する研究
Project/Area Number |
25660203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥居 徹 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (60172227)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオセンシング / 植物工場 / 計測工学 / PCR |
Research Abstract |
本研究は、無菌状態を目指した植物工場における細菌数計測のためのデバイス開発である。植物工場や食品工場の製造現場では各種細菌の検査が行われている。空中浮遊細菌の検査では空中落下細菌測定法が主流であるが、培養に時間を要するためリアルタイムの計測は出来ない。現在本体とサンプラーが一体となった、リアルタイム装置、PCRデバイスは存在しない。植物工場、食品工場では、大腸菌をはじめとする食中毒関連細菌のリアルタイム計数が重要であり、本研究では、植物工場や食品工場において食中毒関連細菌の計数を目標に当該細菌をPCRにて増幅できるリアルタイム計測を目指したLab on a Chipデバイスを開発することである。 微生物DNA増幅のための、微小流体デバイスを使用したPCRに関する研究において、現在は、アガロースゲルを用いたPDMS微小流路の作製における作製条件の検討、および、微小流路内でPCRを実施するための設計を終え、試作したデバイスを用いた大腸菌由来DNAの増幅実験を行っている。微小流路の作製においては、ディスペンサーロボットを用いたアガロースゲル鋳型の描画における描画速度、設定温度を変化させ、微小流路の流路幅とその精度に与える影響を検討した。また、微小流路内でPCRを実施するにあたり必要となる、流体の温度制御について、シミュレーションと計算を通じて、温度および流体の制御における目標温度と流量について、最適となる値を求めた。そして現在、作製した微小流路とヒーターのPID制御を行う温度制御系を組み合わせたPCR実験装置を試作し、大腸菌λDNAテンプレートの増幅実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主としてPCR部の流路作製ならびにPCRの確認を行った。 流路作製法は、本研究室で開発したハイドロゲルモールディング法で実施した。製作にはディスペンサーロボットにより、鋳型となるアガロースを用いて均一に塗布できる条件を求めた結果、精度良く再現できる方法を見いだした。デバイスは、94℃、72℃、55℃になるようにヒーターを3種類用意して、微小流路がヒーターの上を往復する構造にして温度履歴を与えことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
空気圧によるバルブの開閉機構を完成させて、流路内の流れの方向制御を行い、DNAの増幅確認を行う。サンプルが流れる流路は半円形で、これを空気圧により押し縮めて開閉を行う。バルブ作成法に関しては、2枚のガラスを100umのスキマゲージに挟み、その間にシリコンゴムを流すことで作製する。バルブは液体用流路をすべて閉じなくても流れを止めることが出来るようにするために、微小隙間があっても液体を止めることが出来る。 サンプリングした材料からのDNA抽出に関しては、高電圧による細菌破砕を行う。要素技術については完成の域に達することを目標とする。
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