2013 Fiscal Year Research-status Report
大自由度離散力学系において観測される低次元非線形ダイナミクスの創発メカニズム抽出
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25660204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
酒井 憲司 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40192083)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カオス / 複雑系 / 時空間ダイナミクス / マルチエージェント / 粒子径 |
Research Abstract |
1.土壌切削実験データに対するカオス時系列解析を実施し、これまで判別が困難であった確率過程によって生成されるカラードノイズ・1/f ノイズが決定論的非線形予測関数を自己相関関数の比である DNP/AUT-Ratio 法によって識別可能であることを明らかにし、これを新たなカオス属性指標として提案した。 2.サブソイラの土壌切削抵抗の時系列変動データを対象に、これらを期間遅れ埋め込みによってダイナミクスを再構成し、各ベクトル点の近傍ベクトル集合の内積(局所ベクトル場内積平均)を計算した。また、Wayland Testで用いられる遷移誤差(Translation Error)を計算した。これらによって、軌道の滑らかさを定量化することができ、異なる土壌条件において創発するパターン(周波数)と1/fノイズ等との式べく可能性を示した。 3.汎用型の粒子法シミュレータ(ParticleWorks)を導入し、傾斜平板による土壌切削破壊現象を記述する3次元モデルを構築した。その際に、加振時および無加振時について切削抵抗波形を観測した。 4.マルチエージェントシミュレータからの個体群動態の時系列データを出力し、時系列解析を可能な状態とした。そのうえで、スペクトル解析、非線形時系列解析を試みた。 以上の成果を、農業食料工学会(帯広、25年9月)、Dynamic Day EU2013(Madrid,June,2013)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度計画していた局所ベクトル場内積平均の算出アルゴリズムは予定通り構築できた。さらに、NDP/AC比による決定性の検出手法を考案することができたことは予定を超えた成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 決定性の検出手法:確率過程と局所Lyapunov指数、局所遷移誤差などについても検討を行い、これらの有効性を明らかにする。 (2)マルチエージェントシミュレータを用いて実施する。野生動物個体のGPSデータによる移動軌跡データを利用して、GIS上における行動分析を機械学習など用いて行う。 (3) 時系列データセットやその他の非線形時系列信号をも対象として、25年度に開発した局所ベクトル場内積平均計算アルゴリズムおよび非線形時系列解析の標準解析手法を適用する。これにより、確率過程と決定論的カオスの判別性能をより系統的、網羅的に調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画に対しておおむね順調に研究は進行した。次年度の計画する実験経費について若干の余裕を持たせた方が安全であると判断した。また、当該年度の研究成果をより積極的に公開するために、英語論文の投稿時の英文校閲料などが予定より多く想定されるため次年度に繰り越しを行った。 実験に必要な消耗品および論文投稿料、英文校閲料等として使用する。
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Research Products
(4 results)