2014 Fiscal Year Research-status Report
大自由度離散力学系において観測される低次元非線形ダイナミクスの創発メカニズム抽出
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25660204
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
酒井 憲司 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40192083)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土壌切削 / 土壌破壊 / カオス / 耕うん / サブソイラ / 非線形時系列解析 / カリフォルニア |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度得られた各種の時系列解析を行った。特に、土壌破壊パターンの包括的非線形時系列解析を実施した。用いたデータは連携先のカリフォルニア大学デービス校と本学附属農業データである。UCDデータは、典型的な空間パターンが観測されたため、集中的に解析を行った。時間遅れ埋め込みによって、想定されるダイナミクスを再構成した。その際に、FNN法によって、埋め込み次元を6と推定した。Wayland testとして遷移誤差を推定すした。ここでは、遷移誤差を予測ステップの関数として計算した。同時に、昨年度提案した局所ベクトル場内積平均計算アルゴリズムも適用して有効性を確認できた。また、対象データとしてLorenz63とこれに1.6%の正規分布ノイズをシステムパラメータ(加法ノイズ)として付加したデータ、およびAR(1)のカラードノイズを用意した。その結果、4つの土壌条件TD,TW,UD,UWのうち、TDが有意に小さく、Lorenz63のノイズ付加データと同等の値を示した。さらに、決定論的非線形予測と自己相関係数の比(DNP/ACF)の有効性を、相空間内の状態ベクトルの挙動を追跡することによって理論的にも明確にした。一方、近傍ベクトルの平均ベクトルを計算することにより、ノイズが付加したデータからダイナミクスを可視化する方法も明示した。以上のように、カオス属性を多面的に検出する手法を包括的に適用し、土壌破壊パターンの決定性ひいては決定論的ダイナミクスとノイズから構成される変動であることを示すことができた。また、脈波データにも同様の手法を適用し、その有効性を確認した。これらの成果は、米国生物農業工学会、農業食料工学会年次大会で発表した。また、生態系ダイナミクスに関する集団力学モデルについても一部、同様のカオス解析手法を適用し、これらの成果は、NOLTA2014にて公表した。また、国際誌への投稿が受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形時系列解析の包括的アプローチを計画通り実施できた。これによって、カラードノイズと決定論的ダイナミクスが混合しているような実データの解析に有効なアプローチを提示できた。土壌のような大規模自由度お粒子系や集団力学系において、実データ解析においては有効なものであり、当初の目的にかなうものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が申請時に挙げた3つの現象は、すべて集団力学系として理解できる。26年度までに開発した手法を用いて、さらに現有の実データと、今後生成する数値実験データについて解析を継続し、提案手法の汎用性について確認する。また、研究成果を国際誌に発表する。
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Causes of Carryover |
26年度実施した研究成果の国際誌に投稿している。広く社会に成果を発信するために、オープンアクセスを計画している。当該国際誌へのオープンアクセスには3000米ドル程度を見込んでおく必要があるため、相当額を次年度に繰り越しした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際誌の掲載が受理された論文のオープンアクセス等の出版経費に使用する。
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Research Products
(11 results)