2014 Fiscal Year Research-status Report
新たに同定された水頭症原因遺伝子の幹細胞維持機構における役割解明
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25660230
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (20244668)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 水頭症 / 細胞極性 / 上衣細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:Ccdc85Cは,遺伝性水頭症モデルhhyマウスの原因遺伝子として発見された.Ccdc85Cの神経幹細胞における役割を明らかにし,さらに,全身諸臓器の細胞成熟・分化におけるCcdc85Cの0昨日を探るとともに,各種腫瘍細胞におけるCcdc85Cの発現を検討することで,新しい腫瘍マーカーとしての可能性を検討することを目的としている.
結果・考察:有効なCcdc85C蛋白に対する抗体を得る目的で,ラットのCcdc85c遺伝子配列をもとに蛋白発現系を構築した.得られたCcdc85C蛋白をウサギに免疫し,得られた抗体を精製し,免疫組織化学的な検討に用いた.生後0日齡から60日齡のラットの全身諸臓器の凍結切片を作製し,免疫組織学的に調べたところ,肝細胞,胆管,尿細管上皮細胞,鼻粘膜上皮細胞,気管支上皮,腸管上皮などの様々な上皮系細胞でCcdc85Cの発現が認められた.発現動態を免疫組織化学とPCR法で検討したところ,Ccdc85Cは臓器の発達期に発現上昇し,増殖活性のある細胞で強発現していた(Histol Histopathol, in press) さらに,イヌおよびラットの乳腺腫瘍を収集し,Ccdc85C抗体を用いて免疫組織化学を行ったところ,Ccdc85Cの発現は症例によって様々であり,発現が見られる症例でも乳腺腫瘍の部位によって発現強度が異なっていた.これらの結果より,Ccdc85Cの発現が,腫瘍細胞の増殖様式や生物学的な悪性度と関連している可能性が示唆された.現在,腫瘍の病理組織型および増殖活性とCcdc85Cの発現パターンをさらに検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き,ラットの全身諸臓器の発達段階におけるCcdc85Cの発現動態を解析し,その成果をHistology and histopathology誌に発表することができた.また,小動物の腫瘍,主に乳腺腫瘍におけるCcdc85Cの発現動態を解析し,有用な情報を得つつある.
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Strategy for Future Research Activity |
小動物の腫瘍細胞におけるCcdc85Cの発現動態の解析を継続していく予定である.さらに,Ccdc85Cノックアウトラットの作製に成功したため,ラットモデルを用いた神経幹細胞の維持機構の解明を行う予定である.
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Causes of Carryover |
hhyマウスの新たなサンプル入手が困難となったため,マウスを用いた検討が遅れた.今年度のサンプルは,主に小動物臨床において摘出された腫瘍サンプルであったため,大幅に支出が抑えられた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後,犬・猫の腫瘍サンプルを用いた解析を進行させるとともに,新たに確立したCcdc85Cノックアウトラットを用いた解析を計画している.
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