2014 Fiscal Year Annual Research Report
感染性下痢症発症に関与する消化管因子の同定と動物モデル系開発への応用
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25660232
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
三宅 眞実 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (10251175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安木 真世 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (40589008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖代謝 / 芽胞形成 / エンテロトキシン / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度の研究成果をさらに確認し発展させることを重要視した。ウェルシュ菌の芽胞形成はグルコース存在下では抑制される。そのため本研究では、グルコースの代わりに溶性デンプンを培地へ添加して菌を培養した。マウス糞便中には酵素活性のあるアミラーゼが存在し、従ってこれをウェルシュ菌培養液に添加するとデンプンが分解を受け、結果として培地グルコース濃度が上昇、芽胞形成を抑制することがわかった。アミラーゼの阻害剤であるアカルボースをこの培地へ添加するとグルコース濃度の上昇が止まることから、糞便による芽胞形成抑制現象には、糞便由来のアミラーゼが大きな役割を演じていることが証明されたが、一方でこのアカルボース存在下ではウェルシュ菌の増殖も強く阻害された。これは、おそらくウェルシュ菌が持つアミラーゼ活性によりデンプンがグルコースに分解されることが菌の増殖には必須であること、しかしこのアミラーゼの作用は、環境中のグルコース濃度の極端な上昇を引き起こさないよう、厳密に調節され機能発現していることが示唆された。得られた結果は、ウェルシュ菌が多糖を分解し糖質を代謝する際には、必要なエネルギーを得ると同時に、環境に適切に応答し分化状態を調節することを併行して行っており、その結果として宿主体内で病原性を発揮して体外へ芽胞を放出する自己代謝の最適化を行っていることが明らかになった。今後はこの機能調節のメカニズムを明らかにして、in vivoでの病原性発現を分子レベルで解明することが求められる。
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