2013 Fiscal Year Research-status Report
上皮性皮膚腫瘍における未知の分化転換機構の解明と関連遺伝子群の網羅的探索
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25660237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西藤 公司 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20365422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
代田 欣二 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70147974)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 皮膚腫瘍 / 神経堤細胞 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
今年度は神経堤細胞マーカーであるNestinを一度でも発現すると、その娘細胞に至るまでGFPを発現するNes-Cre/CAG-CAT-EGFPトランスジェニックマウスを作成した。作成したマウスにおいて、GFP陽性細胞が毛乳頭に分布することが蛍光顕微鏡下における観察で確認された。 続いてこのトランスジェニックマウスの皮膚に発癌性物質を塗布することで、組織学的に漏斗部棘細胞腫の形態を示す皮膚腫瘍を効率よく作成することに成功した。作成された皮膚腫瘍の組織では、腫瘍化した角化細胞の一部がGFPを発現することが確認されたことから、腫瘍細胞の一部が少なくとも過去に神経堤細胞の表現形を示したことが証明された。 さらに今年度は、イヌの皮膚腫瘍におけるNestin陽性細胞の分布の有無について解析を行った。その結果、有棘細胞癌、悪性毛包上皮腫、毛芽種ならびに漏斗部棘細胞腫の周囲に、Nestinを発現する紡錘形細胞が分布することが確認された。この紡錘形細胞は間葉系細胞のマーカーであるビメンチンを発現するのに対し、上皮細胞マーカーであるケラチンやメラノサイト抗原は発現しないことが確認された。さらにNestinを発現する紡錘形の間葉系細胞が、犬の皮膚に作成した皮膚欠損部において、創傷治癒の一時期に高率に分布することが確認された。このことからNestin陽性紡錘形細胞は、何らかの機序により角化細胞の増殖に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はトランスジェニックマウスの作成およびマウスにおける解析が予定通り進行しただけでなく、本来は次年度に実施予定であったイヌの上皮性腫瘍における神経堤細胞の有無についても解析を勧めることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は前述のトランスジェニックマウスの皮膚に作成された腫瘍組織中に存在するGFP陽性角化細胞を単離し、神経堤細胞マーカーの発現に関連する遺伝子群をDNAマイクロアレイ解析により同定する予定である。またイヌの皮膚腫瘍におけるNestin陽性紡錘形細胞の生物学的意義についても、免疫組織化学染色による解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に購入した備品であるBX50用ファイバー蛍光光源については当初の購入金額として608,475円を計上していたものの、実際には547,628円と支出額を抑えることが可能であった。また当初は旅費として20万円を計上していたものの、実際には開催学会から渡航費補助が得られたため本予算から執行する必要がなくなった。さらに試薬類の一部は別予算で購入した試薬を応用することが可能であったため、本予算から執行する必要がなくなった。 次年度はトランスジェニックマウスおよびイヌにおける神経堤細胞由来娘細胞および神経堤細胞の挙動についてさらに詳細に解析するための抗体や組織学的解析に使用する試薬類、また研究成果を公開するための学術大会参加費ならびに論文校正料に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)