2013 Fiscal Year Research-status Report
ストレス妊娠における乳腺の「構造」と「機能」:新規分子作用の発見
Project/Area Number |
25660248
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
深水 昭吉 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60199172)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ストレス妊娠 / 妊娠高血圧 / 病態モデルマウス / 乳腺発達 / アンジオテンシンII / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
非妊娠時と比較して、妊娠中の乳腺では、出産後の授乳に備えて「乳腺小葉の形成」や「母乳の産生」といった構造や機能に大きな変化が認められる。最近、我々は正常妊娠マウスに比べ、ストレス(高血圧)妊娠マウスでは、出産前日の妊娠19日目において、乳腺小葉の形成・母乳産生が亢進すること、すなわち、乳腺の発達が促進されることを見出した(未発表)。そこで本研究は、① 乳腺の発達に対するストレスの影響を明らかにし、② 乳腺作用物質の同定と機能の検証を行うことを目的とした。 平成25年度は、妊娠時ストレスの乳腺発達への影響を評価すべく、妊娠中の乳腺構造と機能の変化を経時的に解析した。ストレス妊娠マウスで認められる乳腺の発達促進は、妊娠13日目では正常妊娠と差は認められなかったが、妊娠16日目において発達に差が生じることが判明した。さらに、ストレス(高血圧)の作用点を明らかにするため、降圧剤(ヒドララジンとアンジオテンシンII 受容体拮抗阻害薬:ARB)の投与を行った。その結果、ストレス妊娠マウスにおける乳腺発達促進は、ヒドララジン投与では抑制できなかったのに対し、ARB 投与では正常妊娠マウスと同程度まで抑制されていた。このことは、アンジオテンシンII の作用が、乳腺の発達を制御している可能性を示唆している。また、乳腺作用物質の同定と機能の検証に関して、胎盤より産生され、乳腺発達に重要なホルモンであるプロゲステロンの血中濃度が、正常妊娠マウスに比べ、ストレス妊娠マウスにおいて上昇していることを明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳腺の発達に対する妊娠中のストレス(高血圧)の影響として、構造と機能の経時変化を、組織学的・生化学的に解析し、妊娠13日目以降に乳腺発達が促進されることを特定した。また発達促進のメカニズムとして、アンジオテンシンII とプロゲステロンを候補物質として見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果を受け、本年度はアンジオテンシンIIの乳腺発達促進における作用機序の解明を目指し、アンジオテンシンII 受容体欠損マウスを用いた乳腺移植実験を行う。また、アンジオテンシンIIやプロゲステロンに関連して、初代培養乳腺上皮細胞や乳腺由来培養細胞を用いて、乳腺発達に重要な細胞内シグナル伝達経路を解析する。
|