2015 Fiscal Year Annual Research Report
Wolbachiaによる宿主へのRNAウイルス抵抗性誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
25660262
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大手 学 東北大学, 生命科学研究科, 研究支援者 (20386717)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ボルバキア / ショウジョウバエ / ウイルス / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
節足動物の共生細菌ボルバキアが誘導する、宿主のRNAウイルス抵抗性上昇の分子メカニズムの解明を目指した。Serbusらの、宿主の生殖細胞にてRNA結合タンパク質とボルバキアが共局在するという報告から、ボルバキアが宿主のRNA結合タンパク質を標的にしている可能性について検証した。その結果、昨年度までの研究で、宿主のRNA結合タンパク質の機能が低下した変異体では、ボルバキア感染時と同様にRNAウイルスに対する抵抗性の上昇が観察された。本年度は、ボルバキア側の誘導因子を探索した。キイロショウジョウバエの培養細胞にてボルバキアのゲノムDNAライブラリーを発現させ、細胞の生育を阻害するクローンを選抜した。それらの因子をショウジョウバエ個体にて発現したところ、宿主の体細胞、生殖細胞に作用するボルバキアタンパク質TomOを同定した。TomOをショウジョウバエの生殖細胞にて強制発現したところ、上記のRNA結合タンパク質と共局在した。強制発現したTomOを免疫沈降したところ宿主のRNAが検出され、TomOが宿主RNAと複合体を形成していることが明らかとなった。内在性TomOは細胞質に分布するボルバキアの表面に分布し、宿主RNA、RNA結合タンパク質と共局在していた。今後は、ボルバキアの持つTomOと宿主のRNA結合タンパク質、ウイルスRNAとが相互作用が、ウイルスの増殖抑制につながっている可能性について検証する。
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