2014 Fiscal Year Annual Research Report
カイコの休眠性を決定する光と温度センシング機構間の接点を探る
Project/Area Number |
25660264
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩見 邦博 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (70324241)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カイコ (Bombyx mori) / 休眠 / オプシン / ゲノム編集 / 温度感受性 TRP チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
カイコの休眠誘導には 25℃と 15℃の温度の違いを受容(センシング)する温度センサーである BmTRPA1 と、明と暗を識別する光センサー分子が関与し、さまざまな環境条件において、これらのセンサー分子とシグナル伝達系の活性化および神経ネットワーク形成の二者択一的な可塑的変化による環境情報の統合が起こり、約一ヶ月後に行なわれる DH の血中への放出制御に繋げて休眠性を決定していると考えられる。そこで、申請者らは次の [A]~[C] の3つの研究計画を実行し、胚期のオプシンの機能を明らかにするとともに、この光センサー分子と BmTRPA1 の活性化とシグナル伝達系の活性化に関わり、休眠誘導に協調的に働く分子の探索を行なった。[A] の「カイコ胚の光感受特性と休眠性との関係の解析」では、LED ライトを用い、次世代の休眠化に必要とされる光の感受性時期、期間、光波長、照度を明らかにした。[B] の「胚期のオプシン遺伝子の発現調節機構と休眠誘導への影響の調査」では、まず、カイコのゲノム中に存在するオプシン遺伝子や関連遺伝子をクローニングし、胚期のおける発現動態解析を行ない、発現時期と発現細胞を同定した。さらに、[C] の「RNA-seq. 解析による光・温度センサーのノックダウンにより発現量が変化する分子群の探索」では、BmTRPA1 のノックダウンにより発現量が変化する遺伝子群を同定した。それらに加えて、BmTRPA1 と上記の [A], [B], [C] の結果より休眠誘導への関与が推測された遺伝子に関してゲノム編集技術である TALEN によりノックアウト系統を作出し、休眠誘導への影響を調査した。それらの結果、光センシングに関わる分子候補と、温度センシングと光センシングの両方の下流で働く可能性のある分子候補を特定した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Embryonic thermosensitive TRPA1 determines transgenerational diapause phenotype of the silkworm, Bombyx mori.2014
Author(s)
Sato, A., Sokabe, T., Kashio, M., Yasukochi, Y., Tominaga, M., Shiomi, K.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 111(13)
Pages: E1249-E1255
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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