2013 Fiscal Year Research-status Report
スパイダーシルク完全長cDNAの獲得とその全塩基配列の決定
Project/Area Number |
25660267
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
桑名 芳彦 独立行政法人農業生物資源研究所, 新機能素材研究開発ユニット, 主任研究員 (30370654)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オニグモ / 牽引糸 / cDNA |
Research Abstract |
我々は、カイコが吐糸するシルクの力学物性を、遺伝子組換え技術を用いて改良し、その繊維としての強度や弾性を向上させてより高機能なシルクを作出することを目指している。それを実現するための方法の一つとして、高強度、高弾性で知られるクモの牽引糸タンパク質をカイコで発現させ、カイコにスパイダーシルク(=クモ糸)を作らせることが考えられる。本課題においては、オニグモの牽引糸タンパク質をコードする遺伝子の完全長cDNAを獲得することを目標としている。得られたcDNAは、今後の研究展開として、カイコに導入する予定である。 一般に、クモの牽引糸タンパク質は長鎖で、かつ高度な反復配列を有すると言われている。そのために、オニグモやジョロウグモ等の造網性のクモ類ではその牽引糸の有用性が注目されているものの、これまで完全長の配列は報告されていない。我々の先行研究では、オニグモの牽引糸タンパク質をコードする遺伝子の3末端側の約2kbpの部分配列が確定している。また、これまでの経験で、高度な反復配列を持ったクモ糸タンパク質の遺伝子はPCRでは増幅できず、また環状プラスミドを用いた方法ではクローニングできないこともわかっている。そこで、PCR や環状プラスミドベクターを用いない方法により、オニグモ牽引糸タンパク質の完全長cDNA の獲得を目指している。 我々は、研究所の敷地内で採取したオニグモの絹糸腺からmRNAを抽出し、このmRNAの5末端側にアダプター配列を連結した。このmRNAを鋳型にして通常より高温での逆転写反応により、より長鎖のcDNAの獲得を目指した。また環状プラスミドではなく、直鎖状プラスミドを用いてクローニングを試みている。現在のところ、逆転写産物として10kbp以上のものが得られているが、クローンを得るには至っていない。今後、実験の精度を上げて、より長鎖のcDNA獲得を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、平成25年度中にある程度長鎖のクローンを得て、26年度はその配列を決定するというものであったが、現在のところ、長鎖クローンは得られていない。これはクモの牽引糸cDNAが、想像以上に取り扱いが難しいことに起因している。今後、長鎖クローンを獲得する実験を集中して行い、今年度中に配列を決定するところまで到達したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験をさらにつづけ、より長鎖のクローンを得るとともに、デリーション法によるシーケンシング等を駆使して、オニグモ牽引糸タンパク質のcDNAの塩基配列を確定する。
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