2013 Fiscal Year Research-status Report
融合に頼らない機能性フィブロイン作製法の構築のための基盤的研究
Project/Area Number |
25660269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
石橋 純 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, 主任研究員 (20391576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 哲也 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット, 主任研究員 (80414879)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シルク / シルク結合ペプチド / 固定化 / 酵素 |
Research Abstract |
シルク結合ペプチドYN42を用いた、機能性タンパク質のフィブロインへの固定化を試みた。まず、YN42とEGFPと酵素(ルシフェラーゼおよびセルラーゼ)の融合タンパク質を大腸菌を用いて発現を行った。得られた融合タンパク質は、シルク繊維にはほとんど吸着しなかったものの、フィブロインのゲルに結合し、YN42は繊維となったシルクへの結合に比べ、繊維化前のゲル状シルクに対しては強く結合することが示唆された。フィブロインゲルに結合した融合タンパク質の酵素活性を測定したところ、セルラーゼ、ルシフェラーゼともに活性を示し、固定化状態で機能を発揮しうることが明らかになった。この融合タンパク質をUASの下流に組み込んだコンストラクトをカイコ卵に注射することにより、組換えカイコを作出した。得られた組換えカイコと後部絹糸腺でGAL4を発現する系統との交配を行い、後部絹糸腺において融合タンパク質を発現させた。後部絹糸腺における融合タンパク質の発現を確認し、その酵素活性を確認した。さらに生産された繭においても、EGFPの蛍光と酵素活性が認められた。融合タンパク質は、フィブロインの外側に局在していた。融合タンパク質は、水、炭酸ナトリウム、8M尿素により洗浄を行った後もほとんどがシルクに残存し、強固な固定であることが明らかになった。 ファージディスプレーライブラリーを用いて、溶液状フィブロインに対する結合ペプチドの探索を行い、10種類の候補配列を得た。 YN42の結合配列を明らかにするために、ファージディスプレーライブラリーの探索を行った。得られたファージの提示する結合配列は、明確なコンセンサス配列が含まれず、フィブロインの部分配列と相同性を示すものがなかった。このため、YN42のシルクに対する特異性は高くないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シルク結合ペプチド融合タンパク質の大腸菌を用いた発現による機能解析が順調に進んだため、計画を前倒しして、カイコの組換えを行い、すでにシルク結合ペプチドを融合させた酵素を組換えカイコに発現させている。この組換えカイコの生産した繭には酵素が強固に固定化されており、その酵素活性も確認された。すなわち、本課題により開発した非共有結合的固定化法により、酵素固定化繭として使用可能であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在使用しているシルク結合ペプチドYN42は、特異性が低いことが示唆されている。ファージディスプレーライブラリーのスクリーニングにより得られた、新規結合配列とフィブロインとの親和性を解析の特性などを詳細に解明し、より特異性が高い新たなシルク結合ペプチドを用いた機能性タンパク質の固定化を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、プラスチック器具などを効率的に使用した結果、研究費に余剰が生じた。 人件費や試薬、器具類の購入に充てる。
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