2014 Fiscal Year Annual Research Report
多様な温室効果ガスの大気圏からの消費に植物圏微生物が果たす新規生態系機能の発見
Project/Area Number |
25660282
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菅野 学 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (10462847)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物 / 植物共生細菌 / 放線菌 / 水素 / 一酸化炭素 / 生物地球化学 / 大気物質循環 / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
植生地で見られる大気中の様々なガス成分の消費現象は、“プレイヤー不明”の生態系機能となっている。「植物圏に生息する微生物の活動によって多様な温室効果ガスが消費される」との新しい生態学的原理の提案を最終目標に掲げ、本研究では、まずモデルケースとして、間接的温室効果ガスである水素を消費する植物共生微生物に着目して以下の研究を実施した。 1. 微生物の探索と機能解析: シロイヌナズナおよびイネ体内から分離した145株から、高親和性水素酸化酵素の大サブユニットをコードするhhyL遺伝子を有する7株のStreptomyces属細菌を獲得した。7株のうち4株は、大気濃度レベルの水素を取り込む高親和性の水素酸化活性を示した。 2. 植物接種試験:無菌土耕栽培したシロイヌナズナおよびイネに分離株を接種したところ、約1ヵ月後に植物体内の局在が確認された。ガス分析の結果、接種株は植物表面や植物体内においても、細胞あたりで土壌中と同等の水素酸化能を示した。 3. 分子生態解析: hhy遺伝子を植物種の共生菌メタゲノムから網羅的に探索した結果、試験した野生植物6種の全てから遺伝子が検出された。 以上の結果より、高親和性の水素酸化細菌は植物体内や植物表面に広く存在して、大気中の希薄な水素を取り込む可能性が示唆された。本研究は、植物圏の微生物が水素の地球科学的循環に寄与する可能性を示す初めての研究である。さらに、一酸化炭素やメタンの消費に関与する各遺伝子(coxL, pmoA)についても同様の分子生態解析を行い、いくつかの植物種でこれら遺伝子を持つ微生物が存在することを明らかとした。
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Research Products
(4 results)