2013 Fiscal Year Research-status Report
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25660285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (20264814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木全 卓 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 講師 (60254439)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 巨樹 / クスノキ / 3次元計測 / 樹冠形状 / 重量分布 / 曲げモーメント / 風圧モーメント / 力学的強度 |
Research Abstract |
旧年度は、クスノキ巨木の形状の定量的評価と安定解析を目的として、樹高12mの一般的な大きさの個体と天然記念物に指定されている樹高20m以上の個体を対象に、地上設置型のレーザスキャナを用いた3次元計測を行った。設置した仮設基準点データを用いて、全データを統合でき、樹高、樹冠面積などの樹冠形状の定量的なデータを抽出できた。得られた3次元データから幹と枝のみを分離し、分岐する点、伸張方向が変わる点などの特徴点を抽出し、この点での直径を求めた。これらの点を隣同士の点間を円錐台と近似して、円錐体の体積を求め、一般的な密度から重量に変換することにより、クスノキ個体全体の分布を求めた。他個体の葉量サンプルデータを用いて、各葉群クラスターの重量を推定し、クスノキ個体全体の重量分布を求めた。幹から分岐する太い枝を対象に、この枝を区分して各ブロックの重量と重心を求めた。この太枝に属する葉の重量推定と葉群の鉛直面への投影面積を求め、区分点および枝の根元が折れるかどうかの検討を行った。各点の曲げモーメントと強風時の風圧モーメント、断面係数から曲げ応力を算出し、一般的なクスノキの許容曲げ応力と比較して安全率を求め、各点の強度を定量的に評価することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
旧年度は2個体を対象に3次元計測を行い、樹冠形状および樹幹形状の定量的評価と強風時の曲げモーメントを算出し、枝の様々な位置での断面係数、許容曲げ応力を求めて安全率を算出し、枝の折れにくさを定量的に評価する手法を開発することができた。しかし、曲げモーメントの算出に必要な葉群クラスターの葉量は、他のクスノキから採取した実測の葉重量と葉群クラスターサイズから推定するにとどまった。直達日射計を用いた透過光量と算出した葉群クラスターサイズを用いて、葉量を推定する手法の開発に着手できなかったことは、予定よりも遅れている。ただし、直達日射計の設置場所の検討のために、任意の点において、クスノキ巨樹の3次元データを用いて、任意の月日、時刻にクスノキ樹冠のどの位置に太陽が存在するかを評価できるプログラムを作成した。それゆえ、直達日射計による透過光量の実測はできなかったが、効率的に透過光量を計測できる場所の評価ができているため、新葉が展開後にすぐに計測を実施できるため、大きな問題ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は直達日射計による透過光量の実測値を用いた葉量の推定方法を確立する。そして、旧年度に推定した葉量の精度検証を行い、葉量の誤差が枝の曲げに対する安全率に与えるシミュレーションを行い、誤差評価も行う。さらに巨樹の衰退状況を評価するための基礎データ収集も目的として、20m以上の大きなクスノキで、葉量の多いやや壮齢個体と、葉量が多少減少したと考えられる熟齢個体を対象に、3次元計測および重量分布を算出して、力学的な安定解析を行う。そして、巨樹の葉量低下と力学的安定との関係についての考察を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
長期で調査に行くことができなかったこと、公用車が利用可能であったため旅費を節約できた。また、3次元データの解析方法を試行錯誤しながら行ったため、外注することができずに人件費を使用しなかったため 昨年度使用が少なかった旅費や人件費は、今年度の調査旅費やルーチン化できた解析分に回して使用する予定である。さらに、ストレスなく膨大な3次元データを描画、解析できるグラフィック機能にすぐれたパソコン等の購入に使用する予定である。
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