2014 Fiscal Year Research-status Report
二重蛍光標識セラミドの合成とそれを用いる動的細胞内スフィンゴ脂質代謝の網羅的解析
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25670003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 篤司 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80130029)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セラミド / スフィンゴシン / ゴルジマーカー / 脂質代謝 / 蛍光プローブ / 二重標識 / NBD / BODIPY |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は以下の3つのテーマについて研究を行った。 1)緑色蛍光色素NBDを主鎖に有するセラミド誘導体の合成と機能解明を引き続き調査した。1位水酸基の修飾を検討しアセチル基が代謝安定を増し、毒性の軽減につながることを見出した。また側鎖アシル基の長さについても検討し、C16を有する調査アシル基では細胞膜透過性が低いことが示唆された。得られた蛍光性セラミドは細胞内ゴルジ体を長時間にわたって染色することが可能であり、細胞分裂時におけるゴルジ器官の変化を観測することができた。 2)赤色蛍光色素を有するセラミド誘導体の合成を目的とし、BODIPY骨格を有する誘導体の合成を検討した。KEIO BODIPYを基本骨格とする蛍光色素を合成したが収量が乏しく、セラミドへの変換効率は低かった。さらにBODIPY骨格の効率の良い合成法を検討している。 3)主鎖及び側鎖を二重標識セラミドの機能を評価すべく、細胞膜透過性を検討した。ゼブラフィッシュ幼魚の体表染色を検討したが細胞膜透過性が不十分であった。更に透過性を改善したプローブ合成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NBD標識セラミドの機能評価は順調に進捗し、1位水酸基上のアシル基、側鎖アシル基の機能が明らかとなりつつある。本セラミドはアミノ酸セリンを原料として容易に合成が可能であり、4年卒研生でも数ヶ月で数種類の誘導体合成が可能となった。 赤色蛍光色素の合成は生成物及び中間体の不安定性に由来する合成効率の悪さが進捗を妨げており、大きな改善の必要がある。当初はそれほど多量の色素を必要としないため、少量でも高純度の化合物合成を目指していたが、更にセラミドへの導入効率も不十分であり目的とする赤色蛍光セラミドを高純度で得るには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
NBD標識セラミド蛍光プローブは更に構造変換し、細胞膜透過性および代謝安定性に優れたプローブ開発を目指す。我々独自の誘導体として1位アシルオキシセラミドの機能を更に解明するためアシルオキシ基の構造活性相関を検討する。特に枝分かれ構造を有するアシル基、芳香族アシル基等の機能を検討する。同時に細胞膜透過性の向上を目的として側鎖アシル基の短いセラミド誘導体の機能を調査する。細胞外漏出についても検討する。 安価なBODIPY誘導体の簡易合成法と安定誘導体の合成を確立しセラミドプローブへの変換を検討する。
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