2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒を用いるペプチドの選択的解裂:脱セリン化を伴うペプチド短縮反応
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25670004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (50214680)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機触媒 / ペプチド / 位置選択的切断 / アミド結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペプチドの人工触媒による配列特異的解裂は有機化学や生化学の分野における長年の挑戦である。我々はペプチド中のセリンのアミドNH基選択的なアシル化(Boc化)を検討する過程で、セリン部分が特異的に除去されるペプチド短縮反応を見いだした。本研究ではこの前代未聞の反応を精査し、触媒や反応条件の最適化を行い、その一般性と基質ペプチドの適用範囲、さらに反応機構を明らかにすることを目的としている。 本年度は反応機構解明に向けた検討を行い、以下の成果を得た。 (1)BocN-Val-Ala-Ser-Ala-OC8H17の配列を持つテトラペプチドを用いて、本反応を進行させる触媒を精査した。その結果、L-beta-naphthylananine 側鎖をもつPPY型触媒に特異的なペプチド切断反応で、他の類縁体触媒では本反応は進行せず、セリン残基のO-Boc化のみが進行することがわかった。 (2)異なる配列を持つ2種類のテトラペプチドを用いるcross over実験から、このペプチド切断ー再結合過程が分子内反応であることがわかった。 (3)セリン残基のO-Boc化体を反応系に付しても回収されることから、本化合物が反応中間体でないことがわかった。 (4)脱離するセリンはオキサゾリドンとして回収される。
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