2015 Fiscal Year Annual Research Report
不斉結晶化におけるオストワルド熟成を利用したキラル物質創製に関する研究
Project/Area Number |
25670006
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
東屋 功 東邦大学, 薬学部, 教授 (50276755)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不斉結晶化 / 結晶成長 / キラルライブニング / 自然分晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き、芳香環上に種々の置換基をもつ芳香族スルホンアミドを合成、当研究室で確立した簡易結晶化条件スクリーニング法を用いて多形探索を含めた結晶化を行い、単結晶X線結晶構造解析により不斉結晶化の有無と分子間相互作用の関連について調べた。本年度は約200の化合物について合成を行い、このうち新規および前年度までに得られた結晶構造の再現性の確認を合わせて約150の結晶についてX線結晶構造解析を行った。前年度までに検討したインドールアミンのベンゼンスルホンアミド誘導体は、新規に合成した12種類のうち、7-アミノインドールと3-メチルベンゼンスルホニルクロリドを組み合わせたスルホンアミドが不斉結晶化し、また5-アミノインドールと4-イソプロピルベンゼンスルホニルクロリドを組み合わせたスルホンアミドに3種類の多形が見られた。これらより、依然、不斉結晶化はインドールの4-位および7-位置換体に異常な頻度で見られ、5-位および6-位置換体には全く見られなかった。またアニリンとベンゼンスルホニルクロリドの組合せについて、いずれかまたは両方の芳香環にハロゲン基をもつ54種類の芳香族スルホンアミドについても同様に解析を行ったところ、3種類の化合物に不斉結晶化が見られた。また結晶中に見られた水素結合パターンを11種類のモチーフに分類することができ、これらは特にベンゼンスルホニル側の置換基により決まる傾向が見られた。本研究により、広義、狭義の水素結合やハロゲン相互作用などの分子間相互作用が結晶構造に与える影響について、重要な知見が得られた。これらの情報は生理活性物質や機能性分子のデザインだけでなく計算による結晶構造予測の発展にも大きく寄与すると考えられる。また、結晶化におけるキラリティー発生の起源を探るための重要な知見になると考えられる。
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