2014 Fiscal Year Annual Research Report
ABC膜輸送体を標的とする経皮薬物デリバリーシステムの開発研究
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25670011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 将夫 金沢大学, 薬学系, 教授 (30251440)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経皮吸収 / 貼付剤 / 添加剤 / トランスポーター / ドラッグデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物排出膜輸送体であるbreast cancer resistance protein (BCRP)とp-glycoprotein (P-gp)は、皮膚では表皮基底層や真皮血管内皮に局在し基質を表皮側から真皮側へ輸送する。これら皮膚膜輸送体を経皮投与医薬品に含まれる添加剤で制御することを目的に、今年度はP-gpに及ぼす添加剤の影響について、LLC-pK1/P-gp細胞と典型的基質であるrhodamine123を用い検討した。一部添加剤が弱いながらもP-gpを阻害した一方で、ほとんどの添加剤は阻害を示さなかった。そこで、細胞株を別のものに変えて実験を行ったが同様な結果が得られたほか、陽性対照として用いたvitamin E TPGSでは阻害効果が見られたことから、P-gpに影響を及ぼす皮膚添加剤はごく限られることが示唆された。一方で、前年度に見出したBCRPに対する阻害効果を示す添加剤について、in vivoでの阻害効果を実証する目的で、除毛マウス皮膚にrhodamine 123と同時投与したところ、表皮中濃度に対してはほとんど影響を示さない一方で、真皮中濃度と血漿中rhodamine 123濃度はともに低下した。このような阻害効果は、P-gp阻害剤ketoconazoleと同様であり、当該添加剤がin vivoで膜輸送体阻害効果を示すことが示唆された。さらに、得られた添加剤の有用性を探る目的で、皮膚膜輸送体によって輸送される薬物を探索した。P-gpまたはBCRPの基質として報告される種々薬物を経皮投与後の血漿中濃度推移を、野生型とP-gpおよびBCRP欠損マウスとで比較したところ、デキサメタゾンの血漿中濃度が前者に比べ後者でやや低下していた。一方で静脈内投与後の血漿中濃度はさほど違いがなかったことから、これら皮膚膜輸送体が典型的基質であるrhodamine 123以外の薬物についても経皮吸収に一部関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)