2013 Fiscal Year Research-status Report
RAGE-硫酸化GAG分子間相互作用の阻害活性をもつ革新的低分子創薬
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25670018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 学術研究員 (60154449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 秀二 名城大学, 薬学部, 助教 (40443973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 低分子化合物 / RAGE / アルツハイマー病 / 糖尿病 / コンドロイチン硫酸 / ヘパラン硫酸 / オリゴ糖 |
Research Abstract |
以前我々は、癌細胞やメラノーマ細胞の肺転移の分子メカニズムの重要な側面を解明した。即ち、癌細胞表面に発現している硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)多糖鎖の構造に癌性変化が生じ、肺に存在するReceptor for Advanced Glycation End-products (RAGE)と呼ばれる免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーに補足され、転移が開始することを世界に先駆けて示した。RAGEは、癌以外にも、アルツハイマー病、糖尿病、動脈硬化、炎症、肺線維症など多くの疾患の発症や病態と関連する。本研究では、RAGEと糖鎖の相互作用阻害を分子基盤とした、従来に無い、抗がん剤以外にも応用の可能性がある、オリゴ糖や合成低分子による革新的な創薬シーズを開発することを目的とする。 今年度の成果としては、共同研究者であるBasappa博士が40種類程度の新規ヘテロ環低分子化合物を合成し、ライブラリーの構築を行った(未発表)。さらに、癌転移の阻害をするコンドロイチン硫酸-E多糖鎖を非酵素的に、高温・高圧条件下で低分子化し、オリゴ糖の調製法を確立した(未発表)。また、RAGE-コンドロイチン硫酸相互作用の阻害を指標にした低分子化合物とコンドロイチン硫酸オリゴ糖のスクリーニング法を開発した(未発表)。 国際誌に総説1報を発表し、国際学会での発表を6回行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展している理由としては、研究計画書に記載した内容に沿って概ね遂行できている。具体的には、1)低分子化合物ライブラリーの構築、2)転移阻害活性をもつCS由来オリゴ糖画分の大量調製、3)RAGE-CS-E相互作用の阻害を指標にしたスクリーニング系の開発の3点についてである。また、査読有りの学術雑誌の総説1編および学会での発表も国際学会6件にのぼるからである。 さらに、研究内容についても日本人の死因の1位を占める「がん」をターゲットとし、本研究の遂行によって、新しい作用機序の抗癌剤のシーズを開発できる。さらに、RAGEが関わる他の多くの疾病に対する創薬シーズになる可能性を秘め、将来的な国民の医療・治療法の開発に貢献出来ることも期待できるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、新規低分子化合物の調製およびコンドロイチン硫酸-E由来のオリゴ糖の調製法の確立ができたことから、今後これらの基盤技術を基に「RAGEとコンドロイチン硫酸との相互作用を阻害する低分子化合物のスクリーニング」について探求し、抗癌剤を含めたRAGEに起因する様々な疾患(アルツハイマー病、糖尿病、動脈硬化、炎症、肺線維症など)に対する創薬候補化合物の開発に向けた基礎から応用研究を推進する。具体的には、1)化学合成した低分子化合物ライブラリーの中から、in vitroでスクリーニングし、癌転移阻害候補物質を選別する。2) 低分子化合物ライブラリーの中から選別した候補物質を用いて、高転移能を示す様々な癌細胞の浸潤・増殖・接着に対する阻害効果をin vitroで評価する。 3) 1および2)で絞り込んだ候補物質を、マウスを用いて、肺への癌転移に対する阻害効果をin vivoで評価する。
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Research Products
(7 results)