2013 Fiscal Year Research-status Report
非天然型アミノ酸を有する新規機能性抗体の安定的生産システムの開発
Project/Area Number |
25670023
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋野 展正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90469916)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 抗体薬物複合体 / 非天然型アミノ酸 / 部位特異的修飾 |
Research Abstract |
本研究では,特殊な反応性を持つ「非天然型アミノ酸」を抗体分子中に部位特異的に導入することで,抗体の本来の機能を保持しつつ,特定部位が均一に修飾された機能性抗体を作製するための基盤技術の開発を行っている. 哺乳類培養細胞を用いて非天然型アミノ酸を部位特異的に含有する抗体分子を安定的に生産するためには,導入部位を規定するUAGコドンに結合する非宿主tRNAと,そのtRNAに特異的に非天然型アミノ酸を付加するアミノアシルtRNA合成酵素を恒常的に発現する細胞株の取得が必須である.しかしながら,非宿主tRNA遺伝子を染色体にランダムに挿入しても,効率の良い細胞株を得ることは困難であることが知られていることから,この方法ではtRNA遺伝子の転写・成熟に問題が生じる可能性が考えられた.そこで,本年度は,この非宿主tRNA遺伝子を哺乳類tRNA遺伝子と同じく核小体で転写させる仕組みを作ることを目的とし,核小体局在化ベクターの構築を行った.まず,周辺配列を核小体に局在させるという報告がある5SrRNA遺伝子配列をtRNA遺伝子配列近傍に配置したベクターを構築し,tRNAの発現量に与える影響を調べたところ,5SrRNA遺伝子配列を持たないベクターを用いた場合に比べてtRNAの発現量が1.5倍程度に向上することがわかった.現在,5SrRNA配列を複数並べたベクターの開発および,核小体局在化ベクターを用いた非宿主tRNA遺伝子の安定導入細胞株の作製を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究申請時に設定した研究の目的に従い,非天然型アミノ酸含有タンパク質生産系の構築に向けた非宿主tRNA分子の効率的な発現システムの開発を行った.当初の計画では,宿主tRNA遺伝子の周辺ゲノム配列を含むBACベクターに対して非宿主tRNA遺伝子を挿入することで,非宿主tRNA遺伝子を宿主tRNA遺伝子と同様の機構で転写させることを目標としていたが,本年度は宿主tRNA遺伝子の転写調節機構を簡便に模倣することができる,5SrRNA遺伝子配列を用いた核小体局在化ベクターの開発を優先して行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度作製した核小体局在化ベクターを用いた実験では,非宿主tRNA分子の発現量が1.5倍程度に向上した.次年度は5SrRNA遺伝子配列をタンデムに繋げる等の工夫を施し,tRNAの発現量のさらなる向上を目指す.さらに,本ベクターを用いて非宿主tRNAの安定発現細胞株の作製を目指す.また,当初の計画通り,宿主tRNA遺伝子の周辺ゲノム配列を含むBACベクターに対して非宿主tRNA遺伝子を挿入することも検討する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画にあったBACベクターの作製を行わず,5SrRNA遺伝子配列を用いた核小体局在化ベクターの構築を優先したため,余剰分を次年度に繰り越した. BACベクターの作製および核小体局在化ベクターを用いた非宿主tRNA安定発現株の樹立を行う上で計画に従って適正に使用する.
|