2014 Fiscal Year Annual Research Report
クリックケミストリーを用いた脂質動態の簡便な測定系の構築
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25670024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西 毅 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60403002)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | S1P / 膜輸送体 / クリック反応 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質は細胞膜の構成成分として知られているが、その代謝物は様々な生理活性を持つことが明らかとなってきた。このような生理活性脂質は主に細胞内で合成され、細胞外の受容体を介して非常に低濃度から作用する。しかし、このような物質がどのようにして細胞外へ放出され、必要な濃度の維持などの調節を受けているかについては興味を持たれていたが、誰も明らかにすることができていなかった。 我々は世界で初めて生理活性脂質S1Pの輸送体の実体としてSPNS2を同定し、その哺乳類個体での生理的役割解明を進めた。SPNS2ノックアウトマウスでは、発生異常や組織の形態異常などは認められなかったが、胸腺から血中へのリンパ球の移行が完全に抑えられたリンパ球減少症を示した。このことはSPNS2の活性を制御することで他の組織に異常を起こすことなくリンパ球の血中数を調節できることを示しており、SPNS2が新たな免疫抑制剤の開発の標的となることを示した。そこで、その阻害剤を探索する目的で、細胞系を用いた阻害剤探索系の構築を進めた。昨年度までに蛍光標識したスフィンゴシンでは輸送体の特異性が低くSPNS2の活性を測定できないことが明らかとなったため、スフィンゴシン自体の構造を大きく変えないように末端にアルキン基を導入したアナログを合成し、クリック反応を用いた検出方法の開発を進めた。アルキン標識スフィンゴシンをはじめとして検出に必要な化合物の合成が終了し、クリック反応を行ったところアルキン標識スフィンゴシンの濃度依存的な蛍光強度の増加を観察することが出来た。しかし、現在の系では検出限界が100uM程度と測定系に使用するための想定値より100倍ほど高くなっており、濃度が薄くなったところでの反応が充分に行われていないことが確認できた。そこで低濃度でもすべての化合物が反応する条件の検討を進めることで検出系の構築を進めている。
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